2013年3月26日火曜日

段階的にムロ出し

かなり寒さが厳しかった冬の間は、まさか桜の開花が例年より10日も早いとは予想できなかったですね
3月に入ってから暖かい日がつづいたために、木々は一気に休眠から覚めて活動を早めたようです

今年の気温の変化とは逆に、暖冬が続いたあげくに植物が休眠から覚める3月になってから
寒が戻って気温が上昇しない日々が続いたりすると、案外に桜の開花時期が遅れる年もありますね

やはり、冬は少々寒くとも、季節の変わり目がある程度はっきりしていれば
植物は順調に休眠期から覚醒し、活動期への移行がスムーズにいくようです

ということで、今年のムロ出しも例年よりも2週間ほど早めに始動
例年のことですが、特に今年は特に慎重に進行中です

作業は昨日(25日)です
気温は低いながらムロ出しにぴったりの曇天でした


集中治療室(ICU)と名付けられたハウス内のトンネル
挿木苗や荒治療をした種木などを残すのみで、ほとんど空っぽ状態です


今春に植替えしなかったミニの雑木類や寒さに敏感な杜松ミニなどは
遅霜の心配があるのでまだムロ(日当たりはよし)の中

ムロ出し後にもっとも注意することは遅霜と水切れ
遅霜は最低気温が5℃以下になる晴天で無風の明け方に降りやすいので、天気予報は見逃せない


植替えたミニの雑木類はまだまだムロ内で待機
遅霜と乾燥に注意して保護を続けます


ムロに入りきれない雑木の種木などは、ひとまず棚下で外気に慣らします


置き場所の関係もあり、やや大きめの盆栽や種木類は直接棚へ出しますが
場所さえあれば、ひとまず棚下で外気に慣らすのが常道です


杜松をのぞく松柏類は、いきなり棚上で大丈夫、もちろん植替えしたものもです
どんどん日光に当てて鉢を温めて根の活動を促します

置き場所の関係もあって、以上のようにケースバイケースで段階的にムロ出しをしましたが
とにかく、ムロ出し作業は曇天の日(その後に雨が降るようなら最高)を選ぶこと

若いころはわざわざ雨の日を選んだものです

(重要)風の強い日や晴天の日は絶対避けましょう

理由は、湿度の高いムロ内から急に乾燥の激しい場所へ移すと
動き出した新芽や新葉を傷める恐れがあるからです


最高最低温度計(左が最低気温)

ところで、ムロ出しを終えた翌日(26日)の早朝の最低気温は約4℃でした
案外低かったようですが、曇天であったために霜の被害はありませんでした

でも、快晴で無風の夜だと最低気温が5℃くらいだと遅霜が降る場合があります
くれぐれの天気予報を見逃さないようにしましょうね

よく新芽や新葉が霜に焼かれて
真っ黒に変色した雑木類にお目にかかりますよ

では

2013年3月16日土曜日

舞姫取り木下準備

山もみじの実生苗の中から発見された小葉性の舞姫もみじ
超ミニ盆栽の隆盛とともに近年人気上昇中です

私は、取り木や挿し木用に10鉢ほどの小指くらいの種木を持っていますが
中に1本だけ高さ1メートルで足元の太さが直径8cmくらいの特大サイズのがあるんですよ

去年の夏ごろ入手したのですが、今春にきっちりと根さばきして植え替えたので
今年は勢いがつき子孫繁栄に貢献してくれることを期待しています


樹高約1m、足元の太さは直径8.0cmくらい

伸ばした枝先などを取り木したり挿木の穂を採取したりなど、繁殖に貢献してもらって
最後に、その元のボディーを活かして、太幹の立派な盆栽に仕立て上げようと目論んでいます


さて、その弟分で小指ほどの種木が9本ほどあるんですが
この入梅前に先端を取り木して超ミニ盆栽をゲットしようと思います

早春の2月末から今ごろまでと
春の新葉が固まったころ(入梅前)が取り木の適期です

今回は入梅前に施術するつもりなので
その下準備をしておきます


先端の2ヶ所に取り木をかけます


先端の徒長させた枝を粗切(あらぎり)しておく
選定した枝先は挿木の穂として活用する


環状に表皮を剥く予定の箇所の下部に5~6重に針金を巻いて
結び目を最後に軽く締めておく


新芽が吹き葉の固まるころ(5月中旬)ごろになると
針金でせき止められた上部に栄養素が蓄積されるので、その箇所を環状に剥皮すると発根しやすい

さらに、剥かれた箇所に形成されたカルスが発達し過ぎて下部と癒着してしまうこと
針金がを妨げてくれるので、取り木の失敗がないわけです

もちろん、環状剥皮のさいに形成層を取り除き木質部に達するまで溝状によく削り込むという
取り木の鉄則は守ってください


同じく粗切りの剪定


針金を巻いて結び目を軽く締める


赤印を環状剥皮する

よろしいですか、みなさん

取り木を掛けようと思っている箇所に、あらかじめ針金を巻いておいて
葉で作られた養分をそこで堰き止めて蓄積しておくと、発根しやすいんですね

あらかじめこの作業をしておくと、発根を早め、発根数も多く
取り木の成功率がグーンと向上しますよ

秋には舞姫もみじの超ミニ素材がたくさんゲットできますよ

では

2013年3月5日火曜日

スクール速報・小品棚飾り

昨年の暮のこと、もう一ヶ所通っている盆栽教室の展示会に出品するための小品棚飾りの取り合わせで
さすがベテランのクロちゃんもかなり迷ったらしく、候補作品を持って相談に見えた

5点から7点もの小品の棚飾りを、すべて手持ちの作品でまかなうのですから
最高峰の国風展示会や雅風展の常連さんだって産みの苦しみは毎度のことです

自分の作品はなかなか客観的に見られないもの(プロだってそうですよ)
そんな時は遠慮なく他人の意見を参考にするのが近道です

そんなわけで、今日は小品棚飾りの実技予行演習です
クロちゃんの作品をごゆっくりご覧ください


主木(しゅぼく)には山取りでジンつきの古木真柏
その強い左流れの力を受け止めるには、やや大きめの捩幹ザクロの株立ちがぴったりと決まって、グッドですね

さて、箱卓(はこしょく)の内部に目を移すと
姫柿の枝がよくほぐれていて大きさもよく、初冬の季節感にあふれて趣十分です

ところが、当初クロちゃんが頭に描いていたけやきをその下に入れてみると
あれ、ちょっとおおきいかな!?

それに、捩幹ざくろともども寒樹の姿のイメージが似ていて
ひと工夫欲しい感じですね


そこでかわりに、陶板を使った赤松の寄せ植えを置いてみました
すると意外や意外、姫柿、赤松、捩幹ザクロの3鉢にリズムが感じられていい感じが出てきました

また、赤松の霜にあたってやや黄ばんだ葉に、かえって冬の趣が感じられて
隣の姫柿ともども、季節感が濃厚です

このように席飾りでは、樹形と樹種、大きさと強弱、加えて季節感とイメージ
そのような要素を総合的に見極め、調和がとれてしかも変化と趣を演出するように心がけましょう


主幹の真柏拡大図

クロちゃんが長年(もう10年過ぎたかな)丹精している山取りもの
シャリとジンが見どころですね


この捩幹ザクロも長いですね
この数年で飛躍的に出世した感じですが、この木はまだまだ伸びしろを持っています


黄金シダ

この写真では正方の地板を使っていますが、これはあくまで間に合わせです
本番でのクロちゃんは丸い地板を使いました

というのは、箱卓(はこしょく)も捩幹ざくろの卓台(しょくだい)も角ばっていますね
このような場合には変化をだすために、草ものの卓(しょく)の形にも気を配りましょう

では