2015年1月15日木曜日

スクール速報・ツカさんの安部性超ミニ

フリースクールの最年長者(私が2番目)ツカさんですが
その心身の若さと元気さはたいしたもの、見習わなくっちゃ!

先日も夜の11時半ごろにスカイプが呼ぶので応答してみると
なんとツカさんではないか!

「まだ起きてんの、ツカさん?!」
「やることいっぱいあってサ、とてもこんな時間じゃ寝る気にならないヨ」

ときたもんだ
お互い様ではありますが、まったくあきれた小父さんですね(笑)

ツカさんは工学部の機械科出身なのでPCに詳しく
その点では私も完全に負けてる感じなんですよ、悔しいけど

さて、今日はそのツカさんの安部性もみじの超ミニをご紹介しましょう


取木から作りかけた素材を買っていただいて、もう3年以上経ったと思います
もともと葉性の優れた安部性ですが、摘み込みによって個性的な樹形ができつつあります


後ろ姿


針金かけに頼らずに摘み込みによるハサミ作りに徹した効果で
素朴で個性的な趣がなんともいえない味わいです

矢印で示したのが主幹にあたる部分ですから
今年はこの部分に徒長枝を作って、主幹をもっと強調したいですね(↓の図)


こんな予想図を描いてみました

子幹の数は数本多いような感じもしますが、これらは急に減らさずに
主幹のでき上がりと歩調を合わせてバランスを取りながら徐々に抜いていきましょう

そして、今年1年は主幹作りに専心するとして
来春には似合いの化粧鉢に入れたいですね

化粧鉢に入れると培養はたいへんになるけれど
根も細かくなるので、それに比例して枝も密になりますね

山椒は小粒でピリリと辛いといいます
大いなる素質を持っていますから楽しみにしてますよ

では!

2015年1月12日月曜日

苔張りの効能

苔とくれば、「苔むす」と云うことばに代表されるように
石垣や庭園の古色蒼然たる時代感を演出する、日本人の美意識の中では大切な要素ですね

盆栽においても、苔は美的な観点ばかりでなく培養上もいろいろな効能を持っていて
地味ながら大切な役目を担っているんですよ

まあ、人間の場合は、「転石苔むさず」、つまり
たえず新しいことにチャレンジしていれば老いぼれない、といきたいものですが(笑)

ところで、植え替えたあとや展示会出品する場合などは
あらかじめ苔を多めに採取しておきます



1 手持ちの盆栽の鉢内
2 石垣や石塀

などの、なるべく水はけのいい場所に生えている乾性(かんせい)の苔がよい
湿気の多い場所に生えた湿性(しっせい)の苔は、見た目にも培養上もふさわしくない

採取した苔は、濡れた新聞紙などに並べて置き
冬期であれば凍らない冷暗所に保存する


植え替えたばかりのうぐいす神楽
このままだと

1 見た目が引き立たない
2 水やりの際に用土が流れ出してしまい根が露出したりする

そこで、採取した苔を使って化粧をしてやることにしました


事前に太さ1mmくらいの針金で長さす2~3cmのヘアピンを作っておきます


鉢の外縁を最初にして、徐々に内側へ向かって張り始める
大きな苔は数個にほぐし、微妙な起伏をつけながら張ると自然な味わいがでる


外縁の苔が崩れ落ちないように、あらかじめヘアピンで固定しておくとよい


同一でなく、色合いや質感、大小などの異なった苔で変化をつけると趣がでる
また、隣り合った苔のメジから表土が見えないように気を配るのも大切なコツです


苔張り完成です

うぐいす神楽の飴色の木肌と瑠璃色の鉢の色彩に
光り輝いた苔の緑がよく映えていますね

また、苔の培養上の効能として

1 冬季、根の保温の役目をしてくれます
2 夏季には保湿の役目をするとともに、外気の暑さから根を守る役目もしてくれます


後ろ姿


後ろ姿の拡大図

というわけで、竹ベラを持って近所の公園に行ってみましょう
丈の短いビロードのような苔が見つかるかもしれませんよ

では

2015年1月10日土曜日

梅の剪定・花芽と葉芽

桜と並んで日本人が大好きな花はといえば、それは梅に決まっていますね
そして盆栽界においては、花もの盆栽の最高峰としての実力と人気は云うまでもありません

ところがその梅の培養法となると、あんがいに誤解している初心の愛好家さんが多くて
特に小品からミニ盆栽の領域では普及率がイマイチの感じです

そこで今日は、当園で売り出している野梅の超ミニ素材を使って
剪定の基本をしっかり押さえておきたいと思います


野梅超ミニ

梅の新梢にある「芽」には「花芽」と「葉芽」があり
暮れごろになると「花芽」が少しずつ膨らんできます

現在ほんのりと色づいて膨らみかけているのが「花芽」で
それよりもウーンと小さくて殻のほぐれていないのが「葉芽」です

「花芽」には花蕾があって、花が咲いたあとにそこからは新芽が吹かずに
「葉芽」からのみ春の新芽が吹くんですよ

ですから、松竹梅の寄せ植えの梅などを盆栽に仕立てようとしても
ほとんどが「花芽」なので、花後の新梢はほとんど枯れてしまいますね

というわけで、ここがポイントです、よろしいですか

梅の芽には「花芽」と「葉芽」があって
春の新芽は「葉芽」からのみ吹いてくるんです


そこで、みなさんは「花芽」と「葉芽」の区別を見分ける必要があるんですね
↑は「葉芽」だけの新梢ですから、どこの節からも剪定できますよ


↑の赤点が「花芽」、つまり花蕾ですね
青点でしめしたのが「葉芽」、つまり新芽はこの殻に閉じ籠って春を待っているんですね

そこで、花後には先端に「葉芽」を残して剪定する
これが基本中の基本となります


↑の画像です

「葉芽」は単独だけでなく、「花芽」のある節にも付きます
「花芽」の裾脇にこげ茶色の小さな「葉芽」がついていますね


↑の画像

新梢の先端に「葉芽」、元に「花芽」のついた例
このような場合でも「葉芽」を残して剪定します


↑の画像

ほとんどの節に「花芽」と「葉芽」が一緒についている例
剪定がとても楽です


↑の画像

先端のみに「葉芽」がついて、あとは「花芽」ばっかりの例
しまった短い枝の場合によくありますが、この場合も先端を剪定してはいけません


A~Cまでの「花芽」の裾脇には「葉芽」はありませんから
1~8の「葉芽」を先端に残すようにして剪定してください


後ろ姿です

よく見ると、「花芽」の裾脇に「葉芽」がしがみついた感じで発見できることがあります
剪定の際には「花芽」と「葉芽」をしっかり区別して剪定しましょう

ちなみに、松竹梅用などの花芽のつき易い品種(花梅)の剪定の場合は
「花芽」の裾脇の「葉芽」をよく探し、その「葉芽」を残して剪定するようにします

また、4月末から5月上旬ごろに新梢の元の新葉を数節部分葉刈りすると
「花芽」と「葉芽」を同時につけることが多いんです

それでは、みなさん、今年もよろしく!
野梅のミニ盆栽にチャレンジしてくださいね