2002年12月28日土曜日

小姓梅


小姓梅(こしょうばい)

小姓梅は梅もどきの姫性(八房性)です
仁丹粒ほどの小さい実がなり、ミニ盆栽として人気があります
培養も梅もどきと同じです

しかし、梅もどきの姫性とはいえ、梅もどきと幾つかの性質の違いがあります

1 実生、挿し木、取り木はできません(挿し木は100本に1~2本しかつきません)
  ですから、梅もどきを台木にして接木で殖やします

2 雌雄の別がないので交配しなくとも実はよく付きます
  (梅もどきには雌木と雄木があって、雌木に実が付きます
   その際雄木が近くにないと実の付が悪いのです)

可憐な小さな実をつける小姓梅、みなさん挑戦してください

2002年12月27日金曜日

けやき名品

この年の瀬になって、けやきの名品が手に入りました
盆栽屋になって何十年経た今でも、一番の楽しみは名品との出会いです
ましてそれが自分の所有物になったときの内心の喜びは、言葉では言い表せないものです
これは業者、趣味家を問わないものでしょう

18センチの樹高
逞しい幹
大地をしっかり掴んだ根張り
密に繁った小枝
幹肌も時代感がばっちりです





しかしです
こうやって自分の所有物をほめあげて満足しきっているわけではありません
盆栽には必ず欠点もあります
100%長所ばかりの盆栽なんてお目にかかったことはありません
どんな名品にも欠点はあるものです(ここが肝心)

要はその欠点が、培養その他の技術で克服できるものかどうか
また克服できないものであっても、人に感動を与えるための大きな妨げにならないか
そのあたりの見極めです

盆栽とは自然の樹木と人間の技とが創りだすものです
人間の技ではコントロール不可能な自然の力もあります



私もこのけやきに出会った喜びをかみしめつつも
より一層の樹格の向上は可能であるかを探っています
たとえば、今の正面は正解なのかな?
他に新正面はないかな?
などなどです

盆栽は永遠に未完成です

2002年12月25日水曜日

孫の手盆栽



3歳10ヶ月の孫娘に盆栽を持たして写真を写そうと試したが
うまくいかない
まだ水平に盆栽を維持し静止することは無理なようだ
仕方なく、置いた盆栽に手を添えるところまでで我慢

昔は「片手持ち盆栽」という言葉があった
片手で持てる大きさ、20~30cm位の盆栽をそう呼んでいた
いまでは使われていない
中品という呼び方に代わっている

豆盆栽はミニ盆栽
小物盆栽(これはまだ使われているが)は小品盆栽
片手持ち盆栽は中品盆栽

時代によって呼び方も異なってくる
5~6cmの超ミニを「孫の手盆栽」とでも呼んでみようか
しかし流行りそうにない
やはり「超ミニ」の方が現代的ですね



この程度が精一杯でした

2002年12月24日火曜日

盆栽の木肌 3



この盆栽の樹種は何でしょう?
そう聞かれてもちょっと見では難しいですね

楓なんです
百日紅のようにも見えますね

かなり古い木(25~30年生)です
愛好家が「なめるように」大切に丹精したものです
きれいな肌です

汚れやすい根張りの地際も掃除が行き届います
常にやわらかいブラシなどで清潔にしている様子です

木肌が古色を帯びるには、持込の年月はもちろんですが、元気さも大切です
元気のない木は木肌がこのようにきれいに上がりません

根のムクムクと盛り上がった感じから、新陳代謝が盛んなことがわかります
立ち上がり付近の幹もみずみずしさが感じられます
培養の適切さがわかります

木肌にとって大切なことは
1 鉢持込
2 適切な培養
3 根張りの清掃

です

2002年12月23日月曜日

盆栽の木肌 2




山もみじの木肌です
縦縞が入っていますね、これが山もみじの肌の特徴です

半分から下は濡れているので黒く見えます
濡れた黒い部分にも茶色く縦縞が見えます
乾けば白い肌になります

しかし古い木でも、根張りの地ぎわは長い間土や肥料に触れているので
歯ブラシで垢を洗い落としてやる必要があります
掃除をして日光や空気にさらされると、きれいな白い肌になってきます

人によると冬に石灰硫黄合剤を塗ります
これは消毒の意味もあります
毎年それを繰り返していると、古い肌はますます白くなります
一種の白粉の役目をするんですね

はじめから鉢で育てたものは肌がきやすいのですが
畑で急激に太らしたものを鉢に上げた種木は、肌がくるのにかなりの年月がかかります
そんなところからも、盆栽の古さを計るのに
太さだけでなく肌のぐあいから見分けることもできます

2002年12月22日日曜日

盆栽の木肌



盆栽の命は第一に「古さ・時代感」です
盆栽でいう古さとは、単に樹齢のことだけでなく
鉢の中に生活するようになってからの年代を含みます
これは盆栽のキャリアをつんでいけば見分けはついてきます

さて,上の写真をよーく見てください
樹種はぎょりゅうです
立ち上がりから屈曲するするところまでの肌は
イボ状になっています
かなりの年代を感じます

梅も似たような肌ですが
このようなイボ幹になるには、一説によると100年かかるといわれています
20~30年では無理なことは、盆栽人なら理解できます

屈曲した手前と先の肌の感じはかなり異なっています
先はまだイボ状にはなっていませんね

みなさんも盆栽の木肌に注意して、「古さ」を意識する癖をつけてください
盆栽にとって「古さ・時代」は命です

2002年12月17日火曜日

紫式部





紫色の宝石のような実はけっこう長持ちする
冬囲いをするような時期になっても、このように艶やかだ
実を早く取ったほうが来年の培養にはいいのはわかっているのだが
このきれいな実を取り除く気にはなれない

昨日と今日の二日間で小品盆栽の冬囲いを済ませたが
ビニールに囲まれた棚下で、紫式部の実は健在です

2002年12月16日月曜日

金露梅の魅力アップ

金露梅(きんろばい)の魅力は、夏に咲く可憐な一重の黄色い花といえるけれど
落葉後の寒樹の姿も渋くて味わいのあるものです

幹が捩れる性質は、捩幹ざくろとよく似ていて、迫力を感じます
密になった枝先は、けやきや楓、もみじなどと一味違った渋い趣があります


この写真は、完全に葉が落ちた姿です
他の雑木類の姿と異なった印象がありますね


幹の捩れ具合です
自然のなせる業とはいえ、盆栽人にとって捨てがたい魅力を感じます

みなさんも一鉢手がけてみてください
培養は比較的簡単です

2002年12月15日日曜日

山もみじの魅力



個人的に、あなたは盆栽の樹種で何が一番好きですか?
と聞かれたら、私は迷わす「山もみじです!」と答えるでしょう

山もみじの魅力はたくさんあります
第一に、木肌です
第二に、冬芽の愛らしさ
第三に、優美な姿です

2002年12月12日木曜日

冬の夕暮れ



昨日は日本盆栽協同組合の月例のオークションでした
今月はオークション続きでややばて気味

今日もまだ疲れがとれません
しかし歳末なので、気は焦ってます
仕事が山ほどたまってますし、ゆっくり休むような余裕の気分になれません

そんなときはすぐ近くにある松戸市の「21世紀の森の公園」へ散歩が一番
気分転換に最高です
かみさんを誘っていってみました

寒さは真冬並みですがそらは快晴です
夕日がおおきく輝いています
周囲を山に囲まれた公園の池には鴨やおしどり、白鷺もいます

冬の夕暮れ時の公園で,一時間ほど英気を養った私でした

2002年12月11日水曜日

けやきの小枝作り


けやき
この一年間の培養管理成果が寒樹の姿に表れます

まずは基本的な水管理、肥料、消毒

春の芽だし時、また葉刈り後から夏にかけての芽摘み
適切な時期(5月下旬)の葉刈り
ふところ枝が蒸れないための葉すかし
強い徒長枝の制御
ざっとそれらがけやきの小枝を密にするための必須条件でしょう

密になった小枝は雑木盆栽の何よりの魅力です
みなさんの今年の成果はいかがでしたか?

2002年12月10日火曜日

雄山の竜

作家は自分の作風について自信に満ちた確かな手ごたえを感じたとき
自らの歩みの一里塚として、特別に凝った鉢を作ることがあります

そのような力のこもった作品は、後世代表作として評価されるこたとが多いようです
雄山も半生の記念として、新しい試みに挑戦しながら、傑作を残しています


間口14.3×奥行11.4×高さ4.6cm

染付外縁獣面足長方樹盆(そめつけ・そとえん・じゅうめんそく・ちょうほうじゅぼん)

表裏の二面に同じ竜の文様を描き、20金を両眼に嵌め込み
さらにしっかりと掴んだ玉にも金を使っています

奇抜さと高級感をねらったのでしょう
その意図はたがわず記念すべき名作となっています

大きさも雄山の作品としては最大級のものですし
絵の描き込みも真に迫るものあがあります

雄山前期後半の作品と推定され
間違いなく彼の作品群の中でも最高傑作の中に入ります

一昨日に手に入れました
約一ヶ月の辛抱が必要でしたね
傑作を手に入れるときは、風林火山の心境です


側面をのぞく角度より
本体のバランスも安定しています


藤掛雄山造と印しています
フルネームでの落款は初期のもので、力作が多いことで知られています
時代感もこの鉢の風格をさらに典雅な印象にしています


竜頭の拡大図

表裏とも右の眼の嵌め込みがはずれていますが
真に迫る竜の表情、雄山の筆力の高さがわかりますね

左手にわしづかみにされた玉は張りの内部から留めてあり
外れない工夫がされています

差枝を切る


いぼたです
盆栽で、差枝のきいたものはやはり見ごたえがあります
このいぼたも差枝が動きと変化を出しています

しかし、その差枝が目立ちすぎた結果
盆栽の他の部分の印象を隠してしまう場合もあります

このいぼたも、小さいながら力強い足元を持っています
ところが差枝が強いために、足元から幹筋の印象が薄れがちです

そこで差枝を短く切ることにしました


利き枝を切るときには慎重にやります(後でくっつけられないー)
そこで例の「ティッシュ作戦」です

第一の候補場所から先をティッシュで隠してみます
枝の芯が向こうへ逃げていますが
とにかく試し切りです

枝をつめるときには、いきなりでなく
幾度かに分けてやれば間違いも少ないでしょう




やはり枝の芯が後ろへ逃げているので
本命のところまでティッシュで隠して見ます
やはりここが正解のようです


完成図
足元から幹の部分が目立つようになりました
まとまりも良くなりました

今後は、差枝の先を下げ加減にしていきます
それには芽の方向を見て剪定を繰り返します

教訓)差枝は長すぎないように注意、他のいいところの印象が薄くなる