2002年12月10日火曜日

雄山の竜

作家は自分の作風について自信に満ちた確かな手ごたえを感じたとき
自らの歩みの一里塚として、特別に凝った鉢を作ることがあります

そのような力のこもった作品は、後世代表作として評価されるこたとが多いようです
雄山も半生の記念として、新しい試みに挑戦しながら、傑作を残しています


間口14.3×奥行11.4×高さ4.6cm

染付外縁獣面足長方樹盆(そめつけ・そとえん・じゅうめんそく・ちょうほうじゅぼん)

表裏の二面に同じ竜の文様を描き、20金を両眼に嵌め込み
さらにしっかりと掴んだ玉にも金を使っています

奇抜さと高級感をねらったのでしょう
その意図はたがわず記念すべき名作となっています

大きさも雄山の作品としては最大級のものですし
絵の描き込みも真に迫るものあがあります

雄山前期後半の作品と推定され
間違いなく彼の作品群の中でも最高傑作の中に入ります

一昨日に手に入れました
約一ヶ月の辛抱が必要でしたね
傑作を手に入れるときは、風林火山の心境です


側面をのぞく角度より
本体のバランスも安定しています


藤掛雄山造と印しています
フルネームでの落款は初期のもので、力作が多いことで知られています
時代感もこの鉢の風格をさらに典雅な印象にしています


竜頭の拡大図

表裏とも右の眼の嵌め込みがはずれていますが
真に迫る竜の表情、雄山の筆力の高さがわかりますね

左手にわしづかみにされた玉は張りの内部から留めてあり
外れない工夫がされています

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