2022年8月28日日曜日

河野研山の篭目鉢

研山焼き締め篭目文様丸
間口4.8×奥行き4.8×高さ3.0㎝



おおよそ40年も前の話になります。バス道路際にある私の盆栽店にひょっこり寄り込んだのが縁で,以来10年くらいは親しいお付き合いが続いた記憶があります。

彼は私よりもひと回りほど年長のサラリーマンでした。
住まいが葛飾の金町だったので、近隣に居住するかの中村是好さんの処へも出入りしたり、何人かの鉢作りのお弟子さんを指導したりと、充実した趣味感あふれる毎日を送っていました。


作品はご覧のような焼き締めの篭目形式をメインとしており、その分野においては写実の力も十分であり、また意匠としてのデザイン性にも優れた味のものでした。
そして研山の何よりの特色は、自らの窯は持たずに益子焼きや笠間焼きの土を基本とし、窯は借り窯として始終したことです。
陶芸人生の半ばにおいて幾度も築窯のことは考えたようですが、彼の目指した鉄分の多い焼き締めの渋い趣の作品と電気窯では考えただけでもイメージが一致しなかったようです。




研山の作品の特色である篭目文様をよく観察してみると、強調と省略が程よく発揮されていることがわかります。巧みな技と云うべきでしょう。

さてお話が長くなりましたが、そんな訳で今でも松戸近辺のミニ盆栽愛好家の処には、研山やそのお弟子さん達の作品の名残を見ることが時々ありますね。


 

2022年8月23日火曜日

彦山人の初期作品

彦山人作
鉄砂釉外縁丸

間口11.3×奥行き11.3×高さ12㎝


赤絵付け鉢で有名な彦山人の
最初期の鉄砂釉外縁丸


現在の作風とはおおいに異なりますが
彦山人の近隣に住まう盆栽愛好家さんが
愛蔵していたものです。




それにしても落款はないし、現在の作風とあまりに相違します。
それで心配になるのが真贋ですが、これはちっとも問題ありません。



彦山人の親しい盆栽愛好家さんの旧蔵品であって、これの他にも幾つか作風の似た作品を
譲って頂いたことがあるからです。

 

2022年8月17日水曜日

第二回国風盆栽展示会


昭和9年3月に上野の東京府立美術館において開催された第一回の国風盆栽展は、余勢を駆って同じ年の12月に第二回目の実現へと向かいました。
今日は、その第二回目の写真帳から珍しい写真を数枚ご紹介いたします。






会長の松平頼壽伯爵はまさに「近代小品盆栽界の父)ともいえる、計り知れない功績をもった盆栽界の恩人です。



下の黒い着物の女性が松平昭子夫人。
上は副会長の酒井忠正伯爵とその夫人。右端の女性は前田候夫人です。


松平候ご夫妻は水やりから植え替え・剪定まで直接手を下さっているいたようです。
また竹本鉢を中心とした豆鉢コレクションは、稀少な名品としてその多くが今日のミニ盆栽界に受け継がれております。


 

2022年8月10日水曜日

10月桜と冬桜

2季や4季に咲く小輪の多弁の桜に出会うと、ほとんどの場合盆栽界ではそれらを10月桜と
分類してしまうようです。


今日ご紹介するのは、樹高12㎝の「冬桜」
10月桜に似ていますが、しっかり区別を
つけています。

ところで、真夏の猛暑ながら狂い咲とはいえ、立派に咲いています・・・


それでは10月桜と冬桜とはどこが違うのかともうしますと、どちらも2季咲きながら、10月桜が八重咲で5~8弁なのに、冬桜は五弁の一重咲なのです。


山桜系統の盆栽種の桜については、混血種がほとんどなのですっきりと分類しきれないところがありますが、このように弁の数で別ければ一応はっきりするように思いますね。

というわけで、今日は真夏の猛暑日に狂い咲した桜の花の一説でした。