2022年8月28日日曜日

河野研山の篭目鉢

研山焼き締め篭目文様丸
間口4.8×奥行き4.8×高さ3.0㎝



おおよそ40年も前の話になります。バス道路際にある私の盆栽店にひょっこり寄り込んだのが縁で,以来10年くらいは親しいお付き合いが続いた記憶があります。

彼は私よりもひと回りほど年長のサラリーマンでした。
住まいが葛飾の金町だったので、近隣に居住するかの中村是好さんの処へも出入りしたり、何人かの鉢作りのお弟子さんを指導したりと、充実した趣味感あふれる毎日を送っていました。


作品はご覧のような焼き締めの篭目形式をメインとしており、その分野においては写実の力も十分であり、また意匠としてのデザイン性にも優れた味のものでした。
そして研山の何よりの特色は、自らの窯は持たずに益子焼きや笠間焼きの土を基本とし、窯は借り窯として始終したことです。
陶芸人生の半ばにおいて幾度も築窯のことは考えたようですが、彼の目指した鉄分の多い焼き締めの渋い趣の作品と電気窯では考えただけでもイメージが一致しなかったようです。




研山の作品の特色である篭目文様をよく観察してみると、強調と省略が程よく発揮されていることがわかります。巧みな技と云うべきでしょう。

さてお話が長くなりましたが、そんな訳で今でも松戸近辺のミニ盆栽愛好家の処には、研山やそのお弟子さん達の作品の名残を見ることが時々ありますね。


 

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