2019年2月6日水曜日

掘り出しもの!

立春の前の数日間が一年中で一番寒いといわれますが、先週の土曜日あたりの早朝の冷気はさすがに半端なかったですね。市内に古くから続いている小規模なアマチュア中心の盆栽交換会の開催日だったので、あの早朝の冷たい空気をかき分けるようにして、出かけたんです。ちょうどこの季節の見ごろの花といえば、梅と木瓜(ぼけ)です。徒然草でみなさんにお目にかけられるような、掘り出し物とめぐりあわないかな・・・
そういえば、

盆栽の道に入って何十年になりますが、ずいぶんと掘り出しものに巡り会ってきたはずですね。言い換えれば、その掘り出しものと巡り会うために盆栽をやっているといえるほどに、常に何か素晴らしいも
のを追っかけているのが盆栽人なのではないでしょうか?
それが証拠に、私達親しい友人同士の挨拶の中には、何かいいものはいっているかい?、という言葉が必ずといってほど挿入されています。

話が横道へそれました。そんなこんなで、その日の掘り出しものがこの山もみじだったのです。樹高は13.5cmで左右は27cm、傷っけのない自然体の古いシロモノです。

取木ではなく実生で出来た足元と根張りのようで、人工くささのない自然な味が特徴。枝はちょっと多めのようですが、一度に追込まずに不要な枝からバランスをとりながら1本ずつ減らしていくつもり。

後姿。今年の春先には何か似合いの化粧鉢を探して植替えましょう。何時までも仕立て鉢だと正面が決まりにくいので、何時までも形がきまらないという欠点があります。

後姿の拡大図。小枝の先も一度もっと透かして整理する必要がありますね。数年かけてじっくりいくとしましょう。たのしみです。



2019年2月5日火曜日

早春の花(野梅と寒木瓜)

1月12日に書いた梅の一重と八重咲きの記事で、きっと八重野梅だと予想されたこの木は、花蕾が開いてみるとご覧のようにやっぱり八重咲きでした。

品種的には野梅系で、植木の産地として有名な埼玉県安行地方で昔から仕立てられている八重咲きの「安行野梅」といわれる種類のようです。

花のガクの部分がやや赤味がかっているのが特徴で、花が咲いた風情はわりと華やかな感じがします。八重咲きなのでふんわりと柔らかい量感があって明るい感じです。

枝先は一重咲きの野梅よりもやや太めで、花芽もよく付いてそのうえ丈夫なので、初心者にでも容易に楽しむことができます。

樹高は25cmくらいですが、こちらが正面のようですね。

樹高13cmの寒木瓜。今年は花芽が少ないようです。寒木瓜として樹勢(じゅせい)は絶好調とはいえないでしょう。この次のシーズンまでしっかり管理して花芽をいっぱいつけましょう!


盆栽としての鉢での培養に向いた樹種では、この寒木瓜にかなうものはありません。幹も盆栽らしく本格的な模様木仕立てが可能で、枝も細かく分岐しやすい性質です。
花は緋色の赤一重咲きで野性味溢れた風情は古くから日本人に愛されています。

寒木瓜の原種と思われる草木瓜の変種に長寿梅があります。いまや席飾りの季節感を表現するのに、長寿梅の存在は必須といえるでしょうが、単体の本格模様木としても楽しみたい樹種ですね。木瓜のことをいちめい「方春花・ほうしゅんか」と呼びますが、情緒ある呼び方ですね。

一般に木瓜類の植替えは癌腫病を避けるために、秋の彼岸を中心に行われますが、近頃では医薬の発達もあって、春の植替えも可能になりました。植替え後数時間トップジンの水溶液に浸しておくと、癌腫病予防の効果があります。