2005年4月13日水曜日

鉢は出世するのか(鉢の時代感について)

盆栽を見て「うーん、これは将来よくなるね」という言葉はよく聞きますね
成長する植物では当然のことですが、それでは盆栽鉢は将来よくなるのでしょうか

結論をいえば、よくなるのです

盆栽鉢の世界においては、何にもまして「時代感」が尊重されますから
長年の上手な使い込みにより古い趣が滲み出て、これはと思うくらいに観賞価値が上がるのです

例えば、同じ鉢作家の同じタイプの作品であっても
時代感の優れたものは数倍の値段ということも稀ではありません


やや20年ほど前に製作された伊万里焼の小鉢一対
向かって右の鉢はいくらかの年月使用された痕跡はありますが、左のものはまったくのサラ(新品同様)

↓を見てください




同じサイズでタイプも同じ鉢、おそらく20年くらいはタップリ使い込んだと思われます
温度の高い磁器がこれくらいの「時代感」に到達するのには、それくらいの年月が掛かるでしょう

白磁の表面のあでやかさが深く内に秘められ、絵の釉薬も落ち着いた光沢を放ち
なんともいえない古雅の味わいが出ています




新品の鉢を手に入れたときには、実際に盆栽を植えて使うことが理想ですが
そうでないときは、室内にしまっておかずに、戸外の棚に置いて日光に当て、盆栽の潅水時に水をかけてやりましょう

そのままでもいいし、草を植える人もいますし、ただ土だけという人もいます
とにかく自然の雨風や日に当てて2年ほど棚に置けば、表面に水垢がついて落ち着いた雰囲気が出てきます

ですから鉢作家によっては焼き上がった自らの作品を
戸外で「培養」している人もいるくらいですよ

みなさんも実行してください
ただし、傷をつけないように厳重注意です

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