芳水は本名を吉田善蔵さんといい、福井県で盆栽園を営む盆栽の専門家
私も属する日本盆栽協同組員で、いわば同業の仲間です
北陸人らしく熱いものを内に秘めたような寡黙な人柄ですが
こちらから水を向けると、鉢作りのことなど熱心にお喋りをしてくれます
作風はやはり盆栽の専門家らしく、盆栽の引き立て役としての「樹鉢」を第一の念頭にしているようで
機能面や色彩面、また絵付け鉢における図柄などにも気を配っているようです
越前芳水作
盆栽の専門家らしく、植えてよし眺めてよしの鉢
長方鉢は宮崎一石ばりの淡い静かなタッチで品格のある呉須絵
この呉須の色彩も植えられる盆栽の邪魔にならないように意図したのでしょうか、非常に淡いタッチで描かれています
間口を狭め深さをタップリとった実用に最適な姿
ボディーがかなり薄手に作られているのもこの作家の特徴です
やはり盆栽の実際家であることが顕著に作品に現れている感じです
越前芳水作
↑で芳水の作品の特徴の一つに、ボディーが薄手であるとお話しましたね
そのためでしょうか、芳水作品にはこの鉢のように、ゆがみの出たものが多いようです
ましてこの鉢のように、縁の構造が単口(ひとえぐち)だと、外縁の構造と異なり
建物でいう柱がない状態なので、高温で焼く磁器の場合はゆがみが出やすいのです
作者自身もこのことには充分承知をしていると思いますが
やはり、盆栽の専門家として多くの樹鉢を見てきた経験から、薄手のボディーのよさに惹かれるのだと思います
私も盆栽屋ですから、心理として、そのあたりは理解できます
作品の歩留まりの悪さを承知しながら敢えて挑戦しているのでしょう
他の磁器作品と見比べてください
僅かながらも芳水作品は全体に薄手です
0 件のコメント:
コメントを投稿