盆栽界においては伝説の陶芸家ともいわれる「井上良斎」
初代は文政11年(1828)の生まれで、以後三代目に至るまで陶芸界の至宝といわれるほどの活躍をしました
時代的な流れでみると、盆栽界における作家としては幹山伝七、真葛香山と並ぶ最高峰であり
そのあとに竹本隼太や小野義真、次いで植松陶翠、そして水野東福寺や月ノ輪湧泉が続いています
このように幕末から明治、大正、昭和と鉢作家の系譜をたどってみても
まさに古典中の古典に位置づけられるのです
いずれにしても、良斎の作品となると数は極端に少ないので
機会があれば鉢に限らず必見です
現代の盆栽界では日本一といわれる「高木盆栽美術館」より放出された貴重品
よくご覧下さい
井上良斎作 碁盤形正方香炉
暗草色の側面には草木の地紋が描かれ、渋めの釉薬を施した碁盤目に強いコントラストの白黒の碁石
優れたデザイン性が感じられます
そしてその格調のある意匠から、ほのぼのとした身近な親しみも同時に味わえるのは
当時は実用に供される機会が多かった「香炉」という道具の性質を、良斎自身が知悉していたことの証でもあります
側面の図
何気ない風に見せながら、縦横のバランスや碁石の配置にはかなりの配慮のあとが窺えます
碁石の配置が何気なくて素敵です
火屋(ほや)を外したところ
同じく火屋を外したところ
底のようす
足の作りも簡素で何気ない感じがかえっていい
良斎の落款
良斎作品には他に「井上良斎」や「大日本良斎」等の落款もあります
「大日本」という落款は戦前の外国へ向けての輸出用の作品であったと言われています
共箱の表書きの署名と落款
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