雑木盆栽として不朽の人気を誇るけやきですが
やはり代表的な雑木樹種の山もみじや楓などのように、持ち崩した場合のやり直しが難しい
もみじや楓などであれば、枝が荒れてしまっても
いちど素材にもどしてボディーの骨格からの再出発がききますね
ところがけやきの場合は、まったくの不可能時ではないけれど
素材にもどしての一からの再出発は、かなり難しいことになります
ですから、けやき盆栽の場合は、育てる途中での停滞や曲折はなるべく避けて
そのかわり、いっぺんに急激な飛躍も望まず、冒険もせず、安全第一の培養管理を心がけるのが最大のコツであるといえましょう
そんなわけで、けやきの芽摘みと葉切りについては、5月30日に詳しくご説明しましたが
みなさんが失敗のないように、さらにクドク念を押しておきましょう
程よく伸びて、芽摘みと葉切りの時期がやってきたようです
春の植替え後の生育が順調なので、平均して月に2回くらいの割合で芽摘みと葉切りを繰り返してきました
このけやきの前回の芽摘みと葉切りはちょうど2週間前でした
前回5月30日の項で、芽摘み葉切りは月に1回ほどと申し上げましたが、順調な樹勢のものにはとても足りませんね
樹勢のいいものでは月に2回くらい、とここで訂正しておきましょう
芽摘みと葉切り作業が必要になったけやき、上部から見ます
どの枝先からも平均して芽が伸びていますね
根がどの部分においても、平均して順調に活動していることを示しています
芽摘みと葉切りのポイント1
伸びた新芽をよく観察すると、枝元のすそ(元)にやや小さめの葉が1~2ツついています
芽摘みをする場合に1~2節残して切る」といわれますが、初心を脱して中級になった方は
少なくともこのすその葉(元っ葉)の1節目は
その勘定に入れない方がよろしい
というのは、新芽の1~2節のすそ葉(元っ葉)の部分は、節間が極端に短いので
教科書通りに1~2節残しで摘むことを繰り返しいると、同じ場所に芽がたくさん吹きすぎて、そこがゴツクなってしまうからです
ですから、1節残しで摘むという場合でも、最初のすそ葉(元っ葉)は勘定に入れずに
図のように2節を残します
最初のすそ葉(元っ葉)は全部切り取る
1節目(じつは2節目なのだが)で切り、残された葉の面積を3~4分の1くらいに葉切りする
そこまでご説明すると、かならず以下のご質問を受けます
「1節目(じつは2節目)で摘んでいくと、一年間ではかなり伸びてしまい、樹髙はどんどん大きくなっちゃいますが、どうしたらいいんですか?」
これは当然の疑問ですね
その回答は、樹髙の短縮は落葉時の剪定で本格的に調整すると覚えて下さい
その時に具えて、活動期に新芽摘みや葉切りによってフトコロ芽を元気にしておくわけです
よろしいですね
芽摘みと葉切りのポイント2
芽摘みはハサミだけで行なわず、必ず空いた片方の手指も使って行なう
新芽は真っ直ぐに上に伸びているとは限らず、横や下を向いている芽もあります
空いた片方の手指も使って
もぐった新芽をフトコロの奥から引っ張り出して、ていねいに行ないます
芽摘みと葉切りのポイント3
ちなみに、このように各枝先によって伸び方が不均衡なものは、根の強弱が激しく各部署が均等に発達していない証拠なのです
来春の植替え時に、強い根は制御し、弱い根は発達を促すように、しっかりとして根さばきをしましょう
さて、一箇所に芽が混んで、おまけに極端な徒長枝があり、落葉後の剪定まで待てません
そんな時にはハサミを使わず必殺技!
ハサミを使うと切り口が盛り上がって瘤状になることがありますから
下に向かって裂くように力をいれて皮ごとむしり取る(傷口が凹みますね)
現在の姿
5月から8月までにどのくらい成長したか、培養の成果を画像で見比べてみましょう
5月頃の画像
芽摘みと葉切りの成果は顕著ですね
芽と葉の数が圧倒的に増えています
最後に、芽摘みと葉切り作業前と作業後の姿を並べて比較してみます
葉の量がかなり減りますね
ということは、芽摘みと葉切り作業によって、樹勢がかなり制御されていることがわかります
ですから、作業のいろいろなポイントはもちろんですが
水やりと施肥を中心にした適切な培養が一層求められます(安全第一の培養管理)
けやきの芽摘みと葉切りはおおよそ9月の中旬まで
あと1ヶ月とちょっとですね
落葉後の大きく出世した姿を楽しみにして
もうしばらく頑張りましょう
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