間口10.8×奥行8.5×高さ4.9cm
一石の同時期と思われる、間口、奥行き、高さがほとんど同じサイズの作品を散見しますが
いずれも精密な描き込みと構図のみごとさを示し、逸品ぞろいです
この作品も、両正面には人物を巧みに配し、絵画の物語性を強調し
山里の穏やかな風景と深山幽谷の自然とを左右の側面に描くなど、四面の絵画の奥深さにも工夫が見られます
まさに東洋山水画のスケールの大きな世界を
小鉢という小さな空間に描き切った一石の魅力溢れる逸品です
無傷完品
側面より
ゆがみよじれのない安定した線に囲まれたボディー
曲がりくねって上流に消える川や遥かなる山並みは
小橋を渡る高士の高邁な精神性を暗示しています
側面は里山の景色
こちらの側面は深山幽谷の厳しい景です
深山幽谷の拡大図
一石の絵画の特徴は、その落ち着いた的確な筆致と、微細で巧妙な筆のタッチにあり
決して輪郭線の勢いだけで見せるのではなく、根気よく対象物を描き出す叮嚀さと表現力に優れています
鉢底の様子
落款は小さめの一石
これは比較的初期に近い時期に使われています
落款拡大図
0 件のコメント:
コメントを投稿