2005年9月10日土曜日

宮崎一石寸評

先日ある人と久し振りに電話で長話をしたときに、過去に私が商ったこの宮崎一石作の五彩六角鉢が
あまり遠くない愛好家の手元に落ち着いていることを知りました

ところで、私達盆栽屋は、大好きな盆栽や鉢を商って「ご飯を食べさせて頂いている」わけですから
惚れ抜いて買い求めたものでも自分で抱え込んでいるわけにもいきません

私もこの一石は一目で惚れこんで手に入れたものだったのですが、人手に渡すのが盆栽屋としての仕事
しかたありませんね
ただ、行方が知れただけでも懐かしく、ホットしたような気分になりました

愛好家に見せびらかし自慢して「売りたくないよ」なんて言ってる盆栽屋を見かけることもありますが
それは下手な駆け引きで言ってるのか、もしくは職業としての自覚が足りないのに決まっています
そんな盆栽屋は要注意ですよ

本当に「売りたくない」「売るつもりがない」なら、人さまに見せてはいけないのです

売らなきゃ「ご飯が食べられない」し
それに、盆栽屋は「いい品物を愛好家に斡旋提供する」べき職業であることを
しっかりと自覚しなければいけません

あらあら、すっかり説教がましくなってしまいましたね

さて、とは言え「好きなものは好き」であって、過去に手元から放した名品を思い出すことはしばしばで
この宮崎一石の五彩六角には是非とも巡り会いたいし、売り物になったときには再び我が手にしたい名品の一つです


宮崎一石作  五彩山水図六角鉢  間口7.8×奥行7.8×高さ4.2cm

鮮やかな色彩を駆使した一石の最高傑作
真に名品の名作といえるみごとな仕上がりです

この小さな画面に壮大なスケールの山水を綿密に描き込んだ作者の熱と技巧は圧巻で
完璧な仕上がり、みごとというほかはありません

おもしろいことに、人物や動物がいっさい登場しない画面
一石は得意の山水図に心ゆくまで没頭しています






最近お客様に買っていただいた赤絵六角
これもよかった、素晴らしかった!








この染付けは現在頒布中の長方鉢
この絵も大好きです

ここでついでに宮崎一石の絵画寸評

一石は「大胆で巧み構図と緻密jなタッチの画家」といえます
ご紹介した3点とも構図が大胆ですね(もう一度ごらんください)

それにしっかりと輪郭線は描きながらも、その線だけに頼らず、またそれで絵をごまかしてはいません
対象物の輪郭線の内側をしっかりと描き込んでいます

ここが凄いんです!

お話の意味がわかりますか?

故に宮崎一石は「大胆で巧みな構図と緻密なタッチの画家」なのです

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