2018年12月9日日曜日

実生かりんミニ

長いこと商売していると、自分では気に入っていても、なかなかに縁遠い(つまり売れない)木もあるし、ちょっとイマイチだなと思っていても、案外に足早く売れてしまう木もあるものです。
商売ですから、それは早くに売れるにこしたことはありませんが、まあ盆栽という商品の性質上、売れずにいたとしても日一日と培養を重ねながら長所を伸ばし欠点を克服するための努力に勤しんでいるわけですから、ある日何かの折にまじまじと眺めて見たりして、改めてその木の出世度合いに気がつき小さな感動に動かされたりすることがあります。

樹高12cm×左右17cmで足元の幹径は約6.0cmの実生かりん。
親しくしている同業者が取木でゲットしたものを譲り受けて3~4年ほど培養しました。
この実生かりんなどは、先ほどお話した「気に入っているのに縁遠い木」の典型でしょう。何人ものお客さんが目をつけてくれてもいるのですが、未だ良縁に恵まれないのです(笑)
木の筋としては、足元の曲はやや緩くやや腰高な感じはありますが、足元もしっかりしていてコケ順もまあまあです。まあ、頭に強い曲があるので、来春には頭をもう少し攻めて寸法を短めにまとめようと思っていますが。

あるお客様からこの実生かりんの最近の映像が見たいというご連絡を頂きまして、ここで改めて撮った写真ですが、改めてしみじみと眺めてみると、樹形は顕著に変わっていませんが、どことなく古色感が濃厚になっていて貫禄がついています。
盆栽ではこの何とない貫禄というのがたいせつですね。一本の枝、見つけの一曲、ふとした根張りの表情、さらには古色感あふれた幹の味わいなど、これらちょっとした変化(進歩)が、総合すると観賞上では大きな変化となって感動を呼び起こしてくれるのですね。それと、かりんの紅葉がこんなにきれいなことも再認識しました。

ああ、毎日大切に水をかけてやってよかったなー!


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