東福寺や平安香山亡き後の日本の鉢作家を代表するといえば
まず第一に「鈴木舟山」の名が挙がるでしょう
それまでの鉢作家といえば、活動中には評価されず
亡くなってかなりの年月をおいて再評価、という形で人気が高騰するのが普通のパターンだったし
またそれが、作家の宿命ともいわれたのですが
この舟山に限っては、その常識には当てはまらなっかたのです
とにかく昔から高かったですね
とてもやわな盆栽を入れられる値段ではなかったのです
没後約20年、さらに人気は上昇、名実ともに日本実用名鉢界の最高峰と
その名を欲しいままにしている舟山鉢の秘密に迫ってみましょう
舟山作 焼締外縁雲足丸樹盆 間口8.1×奥行8.0×高さ3.0cm
中国の清朝末期に、日本向けの盆栽用樹鉢として様式が完成されたされた、中渡りの泥ものもの作品
舟山はそこに範を求め胎土と形の研究をし尽くしたといわれています
それだけに、舟山作品は中渡りの特徴を余すところなく受け継いでいて
このミニサイズの丸形樹盆も一見すると、支那鉢のような端正さとピント張り詰めた強靭さとを併せ持っています
使い込んだ時代感が引き立つ土の味
間口と奥行きと深さのバランス
すっきりとしたこの鉢姿が支那鉢に倣った舟山鉢の特徴なのです
胴の部分のタタラの合わせ目(継ぎ目)が一見無造作に残されていますね
中渡りの支那鉢にもよく見られることで、手際よい一発仕上げであることがわかります
また、縁内側への折り込み部分にも手作りの痕跡が濃厚の残され
名人・舟山の練達した技が、いかに手早くそして優れたものであったかを物語っているのです
予断ですが、この特徴は、平安東福寺にも共通しています
鉢裏にも特別に「こねくり回した」痕跡はみられませんね
仕事は手早く、それがすっきり感を生む元なのです
鉢の胴の最下部の仕上げですが、やはり折り込みの部分は、手作業の痕跡が濃厚ですね
これが微かな下紐のようなアクセントにもなって、全体の鉢姿に締まりを与えているのです
さすがです
最後に雲足です
他の鉢にも同形、同サイズの雲足があることから、型を使っていたようですが
そのヘラ痕には、手早く仕上げた「角・かど」があり、手練の技の魅力が伝わってくるのです
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