近代(明治以後)に活躍した盆栽鉢作家の中で、初代平安東福寺ほど多種多様な落款を用いた作家は他にいたでしょうか?
まあ少ない例としては、無落款が当然とされているほどの大家竹本隼太や、これも無落款の比率の多い市川苔州などの例を挙げることができますが、多い例としては東福寺の印象が圧倒的と言えるでしょう。
ざっと思い出してみても5ッや10では数えきれないくらいでしょう。おそらく20個くらいにはなるでしょうね。
話が逸れました、そうそう、今日しようと思っていたのは東福寺の落款の数の話ではなくて、その捺し方(正確には位置)に特徴がある、と云うことでしたっけ!
この特徴は話せば簡単なことで、見分けも容易だし、私の経験ではかなりの確率(100%に限りなく近い)で的中していると思えるので、みなさん、覚えておいてくださいな。お役に立つと思いますよ。
では具体的に・・・
東福寺の手捻り丸鉢に多く見受けられる「東福寺」の、いわゆる「ハンコウ落款」の場合。
これは焼き締めものですが、釉薬ものでもおなじことです。
縦に三文字の「東福寺」の印は鉢底の左側の、わりとギリギリの位置に捺されているのです。私は長い盆栽人生のうちで、右側に捺されているものを未だ且つて見たことはありません。
「東福寺」はこのように鉢底の左側ギリギリの場所に捺されています。ですから右側であれば極端な話ですが、贋物の可能性さえあるわけです。仮にそれが本物であったとしたら、ある面非常な珍品といえるでしょう。
以上今日はささやかな知識の公開でしたが、覚えておくと便利ですよ!
ただし、鉢が手捻りの丸鉢であり、落款が画像のような「東福寺」の「ハンコウ落款」であることを前提としておいてくださいね。
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