もう何十年もお付き合いしている市内の愛好家さんが足を怪我してしまい、所有品をいくらか整理したいとおっしゃるので、まずは当面使いそうもない抜き鉢から買取りさせていただきました。その中から出てきたのが今日ご紹介する東福寺窯変太鼓胴丸鉢。間口は30cmほどの中鉢です。
やや厚めのがっしりとした胴体で、灰釉が基調。その上から全体に緑釉(りょくゆう)の窯変が出て焼き物としてのおもしろさが表現されています。ただ正面から見ると向こう側にバックリと窯傷があり、これを力の表現と見ればなかなかの迫力です。
やや焦げ茶いろの土目で、胴はやや肉厚のがっしり形、色調はやや暗い感じですが、存在感は十分です。
窯傷(カマキズ)の拡大図。10年ほど前に私が買っていただいたものです。今回久しぶりに手にしてみて記憶が少しずつ戻ってきましたが、さすがに当時の価格や入手先などは思い出せません。
ともかく、こうして全体をながめると、東福寺らしい東福寺といえる鉢ですね。
窯傷の部分には接着剤が流し込まれていて補強されているので、音もでないし傷がこれ以上広がる心配もいりません。どんどん使い込んで時代感がつけば、もっと見栄えもよくなるでしょう。まあ傷物ではありますが、腐っても東福寺ということで使ってみたいと思います。
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