形成層、維管束(いかんそく)、道管(どうかん)、師管(しかん)
みなさん、これらの言葉をおぼえていますか?
いえいえ、盆栽用語ではありませんよ
じつは、中学前半で習う理科用語です(もうとっくに忘れちゃってますか・笑)
取り木や接ぎ木の原理に関係のあることなので
このあたりで簡単に復習しておきましょう
形成層は活発に細胞分裂を繰り返している部分で
木の幹や枝の表皮を剥くと、いくらかヌメっとした緑色の層がそれです
形成層の内側にあるのが道管(どうかん)といって
根で吸い上げた水分を葉に送る役目をします
外側にある師管(しかん)は、葉で作られた養分を根に送り返す役目を担っています
この形成層、道管、師管の3点セットをまとめて維管束とも呼びます
赤矢印の薄緑色の部分形成層で
その内側の白い部分が木質部
断面図
外側から表皮、その内側に形成層があり、その形成層と表皮の間に師管があり
さらに背中あわせの内側には道管があり、まとめて維管束(いかんそく)と呼びます
まずいイラストで申し訳ないが木の断面図を書いて
その構造をわかりやすく説明しましょう
1 表皮(ひょうひ)(からだを守る)
2 形成層(形成層)(成長する)
3 師管(しかん)(葉で作られた養分を根に運ぶ)
4 道管(どうかん)(根で吸った水分を葉に運ぶ)
5 木部
そして、2の形成層と3の師管と4の道管とをあわせて維管束といいます
ちなみに、私たちの世代では道管を導管と
さらに師管は篩管(ふるいかん)と習った記憶があります
さて、根から吸い上げられた水は形成層の内側にある道管から葉に運ばれると言いますから
試しに、もみじの枝を切って赤の水彩絵の具で着色した水を一時間ほど吸わせてみました
そして、表皮を剥いてみると、薄緑色の形成層の内側はご覧のとおりに赤く染まっています
たしかに、水は形成層の内側にある道管を揚がっているのがわかりました
枝を半分に割った断面図でも、表皮の内側に縦に走る道管が紅色にそまっているのがわかります
他の箇所、つまり深部にある木質部からは水は揚がっていないませんね
私たち盆栽の先人達は経験則で知っていたんですね
葉で作られた養分は表皮のすぐ内側にある管(師管)を通って根に運ばれることを
そして、取り木をかける前にあらかじめ針金で軽く結束しておくだけで
簡単に養分がせき止められて、発根が容易になることも
ここで考えてみましょう
もし、この形成層を含む維管束の構造が逆だったら
つまり、外側に道管で内側に師管という配列だったらどうなるでしょう
もっとも大切な水分を運ぶ道管が外側にあれば、樹木は傷つきやすく
そして、養分を運ぶ師管が深部にあれば、再生能力という点でもはるかに劣るでしょう
まさに、師管が外側にあり、命の水を運ぶ道管が内側に配置されているのは
進化の過程における植物の優れた自衛策であろうと推測されて興味深いですね
もちろん、この場合は、われわれ盆栽人にとって
取り木というこのありがたい手法は、そう簡単なものではないでしょうね
では
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