戦前からの俳優でミニ盆栽愛好家の中村是好さんは
「昭和の花咲じじい」とも呼ばれました
晩年にはよく松戸に見えて、例の軽妙な話し振りは
さすがに年季の入った芸に裏打ちされたものだと思いました
住まいのあった東京葛飾の堀切から向島、浅草あたりの
ミニ盆栽愛好家の人気者で
あちらこちらの愛好会に呼ばれ、終生退屈している暇はありませんでした
「盆栽は 作るも楽し 見るもよし 侘び寂びありて 心常に豊かなり」
まさに是好さんの本音だと思います
是好さんはこのように、俳句や和歌、また盆栽を讃えることばに
洒脱な絵を添えた色紙をたくさん書き残しました
文字はすべてマッチの軸で書きました、署名もです
絵は二三本の小さめの筆を使って、瞬く間に書き上げます
行列を作って待っていても少しも慌てません
独り言をつぶやき頭をふりふり調子をとって、それは早いものでした
晩年の70歳を越して一回り以上年下の女性と再婚されたことを
私達に冷かされても
「そりゃーあんた、心配ご無用、私は現役ですゾ」といたずらっぽく笑ってました
是好さんがミニ盆栽界に残した足跡は
計り知れない大きなものでした
ちなみのこの色紙の裏に1977.6.22とあります
歳月が過ぎ去るのはじつに矢の如しですね
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