2004年11月16日火曜日

添配・東福寺茅舎(くずや)

添配というのは文字どおりの添え物で
盆栽飾りの具体的なイメージを表現するための道具類のことです

それらは船、筏、五重塔、茅舎、橋、釣り人、牧童など
素材も木製、銅製、鉄製、陶器など多彩です

茅舎の場合は、水石部門の茅舎形の石が有名ですが
ご紹介する茅舎は東福寺の作品ですから、もちろん陶器です

東福寺は余技として煎茶セットや抹茶湾、置物の狸など
いろいろなものを作っていますが、この茅舎は珍しい作品です


飴釉(あめゆう)茅舎(くずや)一対 平安東福寺作


茅葺屋根(かやぶきやね)のイメージをおおづかみに捉え、まるで童話の絵本に出てくるよな愛らしさが印象的です
東福寺の童心が表われていると言えましょう


側面の姿です
屋根の形が面白いですね
戸らしきものもあります


大きな屋根です
煙抜きが僅かにアクセントを添えています


東福寺の作家として面白いところは
落款を押す場所に対する感覚が、ちょっと他の作家と違っています

この茅舎も底(屋根)の部分に押しています
他の作家であれば、茅舎の裏手か横手でしょうし
底であればこの角度より見て縁に当たる部分が一般的でしょうね



さて、茅舎の添配となれば、実際に使ってみたくなります
略式ですが使い方についてお話しましょう


注意Ⅰ 柿木のある田舎屋の風景

晩秋の日本の村落の風景としてはぴったりですね
しかし、茅舎の比べて柿の盆栽が大き過ぎるようです、惜しい


注意Ⅱ  宮様楓の下垂した枝先の流れを受ける、添えとしての役目を担った飾り

大きさはぴったりですが、宮様楓の鉢の色が茅舎と同系統の色彩です
これではどちらも引き立ちません、色彩も考慮に入れましょう


注意Ⅲ 山深い山村の秋の情景を表した飾り

大きさもまあま釣り合っています
色彩面でも、実の赤と鉢の緑が渋い茅舎の飴色に引き立てられています

前の2例よりもベターです
しかし、何かそぐわない感じがぬぐえません、何故でしょう?

ピラカンサの実が鮮やか過ぎて、茅舎のもつ晩秋のヒナビタ感じとしっくりしない
そんな印象がしませんか?

このように、添配を使うことはけっこう難しいんですね
細身の姫柿などが最も似合う感がします

みなさんのご意見お聞かせください!

0 件のコメント:

コメントを投稿