2004年11月13日土曜日

謎の作家・愛草

稚松愛草は謎だらけの作家です
残された作品からその謎を少しずつひも解いてみましょう



稚松愛草作
緑釉金結晶外縁雲足長方盆(上)
瑠璃釉外縁長方切足長方盆(下)

稚松愛草は香艸園初代園主・河合蔦蔵氏が昭和13年ごろから主宰した「拈陶会・ねんとうかい」
のメンバーであったといわれますが生没年は不詳です
この陶名の由来は、京都市の稚松小学校の付近に居住していたことによるという説が有力です

この「拈陶会・ねんとうかい」は河合蔦蔵氏の指導のもとに小鉢作りを研究したグループで
かの平安東福寺も属しており、永田健次郎や平安萬草など後世に伝わる優れた鉢作家を輩出しました

その作風は端正で、瑠璃釉や辰砂釉に優れたものが多く
土は数種類に大別できます
登り窯の高温焼成のためややゆがみのあるものが多いのも愛草鉢の特徴です

上の緑釉金結晶外縁雲足長方盆は彼の作品としては非常に珍しくい釉薬と用いており
点々とちりばめられた金結晶が印象的です

下は愛草独特の透明感と清潔感のある代表的瑠璃釉作品であり
抜群の発色が魅力的です

平成2年日本盆栽協同組合編纂の盆栽鉢のバイブル「美術盆器」誌上に
愛草の代表作品として掲載されている「瑠璃釉外縁長方鉢」と同型同サイズで
その作ゆきにおいても遜色ありません

ちなみに、誌上に掲載されている有名なその「瑠璃釉外縁長方鉢」も
盆栽屋.comがその昔扱った鉢であることを添えておきます

愛草の作品は昔から熱狂的な愛好家の間で評価されてきましたが
今日に至り小品盆栽界において広く知られるようになりました




雲足と切足の違いはあるが端正でハッタリのないボディーの形はまったく似かよっています
この2点の比較により愛草の作風を強く認識することができます



上は明るい緑色に渋い金の結晶がみごとに散っています
平安東福寺も好んで使用した釉薬

瑠璃釉は戦前の平安香山に似通った印象
透明感と輝きが印象的です



ここでまず注目するのは土目
上は戦前の平安東福寺の用いた白い胎土と同一のもので
ざっくりしていながらも雅味のある質感です

彼らが「拈陶会・ねんとうかい」において同じ道を歩む同志でありライバルでもあったことの証明となるでしょう



稚松愛草の落款
じつに品のある落款です

この二つは画像の大きさが違いますが同一の落款
愛草は同じタイプの大小の落款があります

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