2003年6月17日火曜日

盆栽屋志望の2

盆栽屋志望の青年から電話相談を受けたことがきっかけで
自分の遠い昔を思い出しました

やはり私もあの青年と同じく盆栽屋志望の”迷える子羊”だったのです

20歳をちょっと過ぎたころ松戸に移り住んだ私は、たちまち盆栽の魅力の虜になりました
動機は、そのころはまだ色濃く残っていた松戸の野山の自然に接したからでしょう

近所の野山を歩き回ったり、時には東京の縁日に出かけ盆栽をあさったりの毎日でした
そのころの私は、盆栽の専門店があることを知らず、盆栽は縁日でのみ売っているものと思っていました(のんきと無知))

そんなことをしているうちに、盆栽を通じいろいろな友人や先輩もでき(いくつもの幸運に恵まれました)
ともかく盆栽屋の道を歩むことになったのですが、最初はわからないことだらけでした

盆栽界の環境という面から考えると、私のころは日本が高度成長期の真っ只中で
盆栽人口も飛躍的に伸び、盆栽ブームとさえいわれる時代でした

そんな恵まれた時代背景のおかげで
私のように、市内はおろか盆栽業界にも地縁血縁のない世間知らずの若造でも
何とか盆栽屋としてやってこられたともいえます

もちろん現在の方が盆栽趣味は社会に浸透し、日本の伝統文化として世界中に認知されており
国風展をはじめ小品盆栽の雅風展などの入場者数は増え続けています

ところが日本社会の経済状態が悪すぎます
それと、盆栽愛好家のレベルも上がり
プロの盆栽屋は非常に高度なものを求められている現状です

生半可な技術や鑑識眼は通用しません
この数十年で盆栽界は飛躍的に進歩しまた成熟しました

私達の年代では、独学でたたきあげの盆栽屋がけっこういます

ところが、若い世代で盆栽屋志望で修行中の若者のほとんどが二世達です
そのことは、この業界に縁を持たない若者がやっていくには
情熱だけではとても通用しない世界になっているためだと思います

現在の政治家やタレントにも例えられるでしょう
二世三世の国会議員の多いこと!

どんな職業でもその志願者の層は時代を反映してしているといえますね

付け加えますと、私はあの青年から相談されたときに、はじめは趣味としてやってみたらと暗に勧めましたが、それは無駄でした

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