2004年4月9日金曜日

あけびの樹形

よく盆栽界では、この盆栽は○○○らしい樹形だ、という言葉を聞きます
これは自然界に多く存在する、ある樹種の特徴的な木姿を観察した結果の言葉です

ところが一方で盆栽人の心の中には、盆栽の理想的な樹形がインプットされているのも確かなことです
それはあらゆる樹種に共通のものです

その理想樹形は
例を挙げれば、狩野派の描くところの、逞しい黒松の姿でしょう

根張りが八方に張り、立ち上がりが堂々と逞しく、幹は足元からだんだんにコケてゆき
自然でゆったりした模様があり、しかも枝も一、二、三と順序良く揃っているものです

盆栽人はないものねだりが大好きな人ばかりです
できそうもない相談を、可能にするためには考えられないほどの努力を惜しみません

その結果、自然界では信じられない理想樹形が作出されることがあるのです
そのいい例が、↓のあけびです


あけび盆栽としては、奇跡的とも言える本格的模様木樹形です
自然界に学ぶあけびの樹形は、このような模様木ではありませんね

ほんらい蔓性(つるしょう)ですから、懸崖形が無理のない本来の樹形と思われますし
事実盆栽界で名木といわれるあけび盆栽は、ほとんどその懸崖樹形です

なのに、盆栽の理想樹形に燃える男はいるのです
しかも、ミニ盆栽でそれを実現してしまっているではありませんか!

そして、私の経験から言えることは
このあけび盆栽は小品名木の一鉢に数えられるのは確かなことです(自然界に存在しない樹形なのに!)


足元の堂々たる安定感
これこそがあらゆる盆栽人が理想とする本格模様樹形の基本です

葉でよく見えませんが、枝順も整っています
驚異的なこだわりと集中力の結果としかいいようがありません


後ろ姿にも泰然とした貫禄があります
とても野山に自生するあけびの姿とは思えませんね

このように、樹形の問題一つ取り上げても論議は尽きません
あなたはどっち派ですか?
自然樹形派、それとも理想樹形派?

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