ハリソン・フォード扮するところのインディー・ジョーンズ博士は考古学の宝探しの名人ですが
盆栽名鉢の世界もそれに似ています
昔からそれと知られた名品の行方を追う宝探しには
インディー・ジョーンズのように命を懸けた大冒険こそありませんが、その他のあらゆる努力を惜しみません
ノホホンと棚ボタを待っていたのでは、他の探検隊に宝物を”お先に失礼!”されてしまい
名品を手に入れることはできなくなります
そのときの名鉢探しの探検隊にとって一番大切なのは
勇気と情熱、そして正確な情報と人間関係にあることは映画の中のインディー・ジョーンズとまったく同じです
それだけに不断の努力が実ったときの歓びは、盆栽鉢を愛好する人間でなくてはわからないもので
例えれば子供が念願のおもちゃを手に入れたときのようで”嬉しさで夜も眠れぬ!”です
さてご紹介する平安東福寺も”嬉しさで夜も眠れぬ!”名品です
歓びをおすそ分けします、ごゆっくり鑑賞してください
平安東福寺 染付正方鉢 銘「壷中楽天」
東福寺の作品中でも群を抜いた知名度を誇る究極の最高傑作で
東福寺磁器豆鉢中の随一といっても過言ではないでしょう
最近まで著名な豆鉢コレクターの窪寺一郎氏の所蔵品であり
昨年の近代盆栽誌上(11月号)で「窪寺コレクション」として詳しく紹介されたました
東福寺はその長い作歴においても、磁器もの、ましてや染付け鉢は数えるほどしか制作していませんが
この豆鉢は昔からコレクターの間においては、名作中の名作として知られていました
盆栽鉢史上における資料としても貴重です
直線と曲線の組み合わせによる奇抜な正方形の形状は、東福寺幾多の名作の中にあっても際立っていて
天才東福寺の非凡なセンスが遺憾なく発揮されています
四面に剣木瓜(けんもっこ)形の窓を切りそれぞれに異なった絵付けを施し
周囲の文様もそれぞれに異なっています
呉須の色が冴えていますね
胴のすっきりとした直線と鉢口の曲線(円形)の組み合わせの妙がみごとですね
ふっくらと盛り上がった縁がこの豆鉢にえもいわれぬ温もりを与えているようです
別正面より
別正面より
別正面より
銘「壷中楽天」は無欲の天才の遊び心を象徴していて
天真爛漫な東福寺(本名・水野喜三郎)ならではの自由な発想です
楕円の中に東福寺(通称わらじ落款)
青味がっかった白磁にも品格を感じられます
此(これ)ぬし一泉
窪寺氏の雅号は一泉です、箱の横にこの印しがあります
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