藤掛雄山は、昭和11年の生まれの群馬県在住の現役小鉢作家です
経歴をみると、昭和47年ごらから小鉢の制作に入り
同49年ごろには絵付け鉢に専念するようになったとあります
陶芸の道に入って30年、織物図案とその絵付けはそれ以前に習得していたといいますから
絵付け鉢の作家としてのキャリアは実質50年といっていいでしょう
経歴をみて改めて思うことは、やはりこれだけの作品を作り出すのには
他人には見えない助走期間も入れれば
やはり人生の大半をかけなければならないということです
いまや現役では月香と並ぶ東西の人気作家の双璧です
ここに鶉を描いた大きさと形の似た二つの雄山鉢がありますが
おもしろいことに制作年代がやや違い、呉須と赤絵です
作風の変遷を考証してみましょう
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形の比較
縁の大きさ、胴の反り上がりの角度、足の形などに相違が見られます
縁の大きさは見たとおりですが、足の形も下の方(2)が装飾性が強い
上(1)は縁も足も簡素な感じに仕上げている
絵の比較
上(1)の赤絵の線は細くはっきりしていて、地面の草の部分まで繊細に書き込んでいる
下(2)の絵は線がややおとない
足の文様は下(2)の方が装飾性が強い
どちらも上作であるが、作風の違いのようなものを感じます
やはり同じ作家の作品でも、時代によって作風がわずかに異なるようです
明日はそのあたりを考証してみましょう
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