2003年8月29日金曜日
涌泉鉢絶品
久しぶりにある盆栽界の古老を訪ねました
もちろんお目当てはこの湧泉鉢です
親子ほど年の違う間でも友達です
盆栽が人間関係をそう導いてくれるのです
これがこの世界のいいところ
ひときり昔話に花が咲きました
「宮ちゃん、子供大きくなったろ、なに、もうおめえもおじいちゃんかい、孫はかわいいだろ」
もーッ、おれをいくつだと思ってんだよ、孫の話は前にもしたのに
古老の頭の中の私は、駆け出しのころの私なのです
そのうち話が月ノ輪湧泉鉢のことに及ぶと、古老の目がさらに輝いてきました
目の奥には隠そうとしても隠し切れない、商売人独特の厳しさがチロチロと見えるのです
(私も商売人ですからわかるんです、プロを相手にしたときのプロの目が)
この厳しさがいいんです
これのないプロはやる気のないファイターみたいで魅力がありません
この目の輝きがある以上、この古老はまだまだ長生きしますよ
古老は気に入っているこの湧泉鉢は、とうとう言い値から一円も負けてくれません
よほど気に入っていたのですね
とはいえ何十年の長い付き合い、他のものは破格の相場でわけてくれました
間口はたったの5.8cm
実物より大きく見えます
線が端正でゆるみがありません
スキャナーで画像を取り込んでみました
繊細なタッチ、しかも線に力があります
この二つが大切です
精密なだけではつまらない絵になってしまいます
裏面の絵
まさに月ノ輪湧泉の円熟期の作品です
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