2003年8月22日金曜日

町直鉢


今岡町直作
辰砂釉切立正方樹盆(しんしゃゆう・きったて・せいほう・じゅぼん)

私が盆栽をやるようになって初めて接した小鉢が町直鉢でした
当時、東京は洗足池の風致会館という場所に
中村是好、明官俊彦、佐野大助、田代与志、岡田晃などそうそうたるメンバーが集い
講習会や展示会を催していました

その集いに、ひよっこの私も何度か参加しました
そこで今岡町直氏が自作の鉢を販売していたのです

背の高い上品でハンサムな中年の紳士で
なんでも学校の教師をされているということでした

その頃の今岡さんの鉢には
500円から高いもので3,000円くらいの値段がついていたのを記憶しています

欲しかったけれど3,000円の小鉢は買えませんでしたね
せいぜい500円から眼いっぱいで1,000円くらいまでの小鉢を10個くらい買ったでしょうか

いま思い出すと、そのときの3,000円の小鉢は素晴らしい作品でした
町直得意の青磁に辰砂の釉薬が縁にかけられ、それが劇的に垂れていました

今では町直鉢もコレクターが手放さないため、いい作品を市場で見ることも稀になりました
もっと買っておけばよかった思いもしますが
35年も前の私にはそれだけの鑑賞眼もなかったし、先を見通せる経験もありませんでした
だいいち買ったとしても今まで持っているなんてことは、考えられませんね

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