藤掛雄山造
染付撫角長方樹盆(そめつけなでかくちょうほうじゅぼん)
鶉(うずら)は絵付けの題材として好まれます
周り絵で5羽の鶉が描かれていますが、
それぞれに異なった動作をしているのが印象的です
小さい鉢ですが力作です
撫角(なでかく)とは、丸みのある角のことです
また、周り絵とは、4面の絵がつながっていることをいいます
ところで、盆栽鉢は、盆栽の引き立て役という大前提があります
雄山はその点を配慮して、やや淡い呉須(青い釉薬)を使い
ほどよく余白をとり、繊細なタッチで描いています
そして、ある面制約された作者の真情が思わず表面ににじみ出ているのが
鉢裏の装飾であると私は考えます
みなさんそうは想いませんか?
内側に文様を描いて透明釉を施し
またその内側を、木瓜型(もっこがた)に一段低く削り取り
雄山と独特の字体で落款を書いています
じつにお洒落ですね
雄山がときどき見せる技です
絵付けをする作者が、もっと描き込みたいとの欲望を抑制し
鉢底の文様にその気持ちを吐露しているような気がしてなりません
題目は「隠れたお洒落」としましたが
「隠された欲望」とでもした方が適当かもしれませんね
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