2003年7月15日火曜日

リサイクル

「リサイクル」をカタカナ辞典で引くと再生利用の意味もあります

とすると、盆栽屋はリサイクルショップですね
一見不用になったものを再生して販売することもありますから

取り木はリサイクルのもっとも有効な手段です
勘所をおぼえると非常にお得です

おもに雑木類や花物実物類に施す手術で
5月中旬から6月中旬頃に行います

適応樹種は
もみじ類、楓、けやき、にれけやき、いぼた、ピラカンサ、えご、かりん、えのきなど
かなりの樹種に可能で、しかも簡単です

今回は山もみじの頭がごつくなってしまった素材に
挑戦してみます


頭に勢いがつき過ぎてごらんのように、始末がつきません
こんな素材なら安く買えますね

よく点検してみると
取り木で仕立てたもので根張り、幹筋、枝つきなど
頭の部分以外はかなりの素材

頭の部分は数本の角が出たように株立ち状になっている

そこで、下の幹の部分を活かして再生させ
頭の部分は取り木してミニの株立ちをゲットする

という欲張った前提で更に検証してみます


今までの正面からの検証

まともに取り木をかけるとミニの株立ちが作れますが
残された親木は頭の作りようがなくなります
新しい芯を作るための芽や小枝が見当たりません

そこでひとまず取り木の方はあきらめて、親木の改作後の姿を模索してみます
図のように切ることは可能です
幹の流れが左へ傾くのが気になりますが、ここなら芽吹きも期待できますし
出た芽を右方向へ誘導してまとめることも可能です


裏面からの検証

指で押さえた枝の枝元(幹から5ミリくらいのところ)に芽が吹きそうです
吹いた芽を二年くらい徒長させれば幹のコケ順も調和がとれるし、傷口の肉巻きも早まります
それに向かって右にも枝があるで、条件は最高です


頭のごつい部分を切った想像図
足元よーし
枝順よーし
傷口は大きいけれど、右の枝あるので肉巻きは心配要りません
左の枝の5ミリほど先に節があります
底に吹いた芽を徒長させて新しい芯にします

現在の樹高は14センチですが
完成時には樹高約8センチ、幹の直径2.5センチの
ミニ盆栽ができます


ところで頭の部分は事前に取り木をかけ、根元が甲羅状の株立ちをゲットします

来春彼岸ごろ親木を大きめの仕立鉢に移す
来年5月中旬に取り木
同6月下旬に親木から切り離し(次の春でもよし)
同時に親木を5図のように施術します(上に同じ)

1÷2=2です
答えの2が出世すれば5にも10にもなります
豊かな気分になりますねー!
(このままでは山もみじの樹格向上は望めません)
思い切って挑戦するっきゃない!

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