そして、ある年限培養されて盆栽として壮年期の充実するころになると、今までは長所とされてきた性質が逆に欠点となってうまくいかないことが顕在化してくるのです。
その端的な例が錦松です。矢羽のように割れて変形する皮の変化が喜ばれた錦松も、幹や枝葉の木質部が肥大せずに皮だけが病的に増殖変化するため、足元や枝元に圧力がかかれば、たちまちわが身を維持することができなくなります。つまり自らの重みを支えきれなくなってしまいます。
清姫もみじなども基本的な性質として、樹勢が弱かったですね。ボディーと枝の骨格が出来上がり、小枝も増えてこれから抑制した培養に移りながら古さを求める段階にさしかかると、いわゆる「ガレ」てくきて部分的な枝枯れをおこしたりしました。
その点、舞姫もみじは挿木での発根率もいいし取木も容易で、樹勢はきわめて旺盛です。切った傷の肉巻きもよく、いわゆる「ヤケ」ることが少ないので非常に作りやすい性質です。そんなわけで、超ミニの素材としては最高です。針金に頼らず、切込みによる「ハサミ作り」でいいミニを作りたいですね。
樹高10cmで足元の幹径は約5.0cm。もう盆栽屋.comのところに5年くらいいます。伸ばしては切り込み、切り込んでは伸ばして、やっとボディーと枝の基本がまとまりかけてきたようです。
今春は根を思い切り裁き、枝も大幅に攻めて、もっと節間の短い枝でしまった樹形をめざしたいですね。
ご覧のように根の状態は健康そのもの。
あらかじめ根の容積をナイフで半分ほどに切り込んでおきましょう。
足元の根張り付近や幹の真下の古い用土をよく振るい落としておきましょう。
ボディーと枝の基本が出来上がれば、次の段階では、根も枝も伸ばし過ぎないように、小さめに作りこむのが最大のポイント。
かなり枝先も追い込みました。樹高を測ってみると8.5cmですが、もっと小さくしたいですね。
目標は7.0cmでしょう。枝の長さも半分が理想でしょう。入梅までにもう一度強い追い込みを実行して全体をもっと小さく締めこみます
後姿
今年の入梅前の芽摘みや剪定がポイントになるでしょう。
またご紹介しましょう。
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