2018年2月15日木曜日

国風盆栽展第一回③


戦前の糸魚川産真柏の中でも屈指といわれた名木ですが、現存しているという話は耳にしたことない。他のこの白糸の瀧に比肩するような数々の名木も、培養技術の未熟さや戦争による社会の荒廃のために十分な手当てを受けられないままに、失われた例もかなりの数になるのでしょう。

それにしても、見れば見るほど凄いですね。力に溢れ、まるで天から舞い降りて来た龍か魔物のように生命をもった生き物そのもののようです。次には、一陣の風とともに再び天に向かって駆け上がって行ってしまうような感じがします。
戦前の盆栽史によく登場する「尾形雷園」と言うのはこの人でしょう。巧みな技とセンスで現代までも語り継がれている盆栽人です。小品棚飾り、杉、真柏。

天然彫りの高卓(こうしょく)に載った五葉松は、当代随一の名人といわれた斉田金作翁の長男・泰正氏の作品です。私は金作翁の次男の展司氏とはかなり親しく、さまざまな教えを受ける機会がありましたが、残念ながら泰正氏とはそういうチャンスを持つことはできませんでした。

右は三本足の卓ですが、まるで蝋燭たてのようで、いまでは見たことがありません。上には蔓性の植物が螺旋状に下がっています。
左のように平卓にバラバラと小卓を置いて無造作にミニ盆栽を飾るのを観たことがありますが、今ではこんな風にはやらず、もっと気取って飾るでしょうね

左右に真柏を置いて中央に更紗木瓜の一席です。現代では同樹種の飾りは避けるでしょうが、それでも木瓜との取り合わせは明るく綺麗な席になるでしょう。

野性味あふれた蝦夷松の寄せ植え。寄せ植えとは思えないほどの力が感じられます。

中央は五葉松の大懸崖、戦前の盆栽は葉がさが少ないので、現代の盆栽よりもややボリュームが小さく感じられますが、骨格はしっかりしていて骨太です。みごとですね。

一位の古木と左は真柏の一席です。

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