日本文化の特徴であるもののあわれや無常観、哀愁や情趣など、現代の日本人に通じる精神性がかたちづくられたのが、国風文化の時代といわれる平安の時代です。花鳥風月、雪月花など日本人特有の美意識の基礎も、この時代にかたちつくられた日本人独特の感性です。
昭和9年に開催された第一回の国風盆栽展の写真帳です。30年も前にオークションに出品されたのを落札したんですが、なんと10万円の高値でした。でも今となるといい資料にもなって、落札しておいてよかったです。先日ご紹介したのが第二回目のやつですから、この二冊から戦前の盆栽界の様子はかなり推測できる感じです。ちなみに、国風盆栽展写真帳の真ん中に全という文字が入っているのが、第一回という意味のようです。
現在のように日本盆栽協会という法人がありませんでしたから、編者発行人は現代盆栽界の恩人と言われる小林憲雄先生、発行所は先生が主催した叢會(くさむらかい)になっています。
上が会長・松平頼壽伯爵の席飾り。向かって左側の席の5点は、すべて伯爵夫人が自然採取して自ら培養したものであるとの解説があります。このことにより、安価な草木でも気軽に楽しむことが盆栽精神の真髄であると考えた会長夫妻の本意が率直に伝わってきます。下は副会長・酒井忠正伯爵の席飾り。
蝦夷松2鉢に石菖の三点飾り。現代の感覚でいうと石菖の位置が微妙ですが、強弱、高低のバランスなどは抜群です。
蝦夷松に白寒木瓜に草の三点飾り。蝦夷松のしゃれた模様が秀逸です。
蝦夷松の寄せ植え、現代から見ると素朴な作品ですが、自然で好感の持てる作品です。
第一回目の出品点数は約95点ほどですが、レベル的にはかなり高度な印象です。故にできるだけ頑張ってなるべく多くの作品をご紹介したいと思っています。どうぞよろしく。
0 件のコメント:
コメントを投稿