一石の鉢は、壮大なスケールの構図と類まれな繊細な筆致が特徴
たんなる鉢の装飾としての絵という範疇をはるかに超越した本格の{絵画}の世界が展開されています
ちなみに、月之輪涌泉との際立った相違点は、筆のタッチにあります
涌泉の筆のタッチは早いのに比べ、一石のそれは速度を感じさせません
また涌泉の描く人物がときには主役になるのに比べ
一石のそれはあくまで点景であり、テーマは壮大な山水図そのものであることがほとんどです

崖下の庵に差し向かう二人の人物
裏に迫る崖の上の樹木の樹種の三様の描きこみは余人の追随を許さない的確で微細な表現です
右にそびえる崖の険しい描写も迫力があり
手前の風景との遠近感にも細かい配慮がなされています

撫角の部分は曲面です
この部分に絵を描くのは難しいでしょが、タッチや構成の乱れは微塵もありません
これは驚異的なこと
つくずく感嘆します

向かって左側面

向かって右側面
馬に乗った人物が登場、牧歌的な雰囲気
ここにおいても二本の樹木の描き方は鮮やかです

裏正面
余白をとった静かな湖水の景色
四面すべてが周到な計算のもとに描かれています

正面拡大図

左隅拡大図

左側面拡大図

鉢裏
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