2004年9月10日金曜日

名水盤

江戸後期から明治にかけて知識人の間で盛んであった文人趣味の影響が 
現代にも「文人木」として色濃く反映されています

明治中期以後、文人趣味の精神性は水石の世界へとひろがり
中国の清に独自のデザインの水盤を発注するようになり、それらが名品として今日に伝えられています

それらの名品は「用の美」といわれる、造形的美しさに実用機能もしっかりと備わった優れもので
特に留佩(りゅうはい)・珠佩(しゅはい)の落款入りのものが有名です

またその優れた様式は「型」として盆栽界・水石界の定番として評価が定着し
留佩型・珠佩と呼ばれ珍重されています



白交趾楕円水盤    間口15.5×奥行11.3×高さ2.2cm  (中国清朝末期)

いわゆる留佩型・珠佩型と呼ばれる簡素な単口(ひとえぐち)の切立で
足の作りも切り足風に見せて胴の面から内側には入っていない形です

簡古素朴な形状をむねとすることが「用の美」の理にかなうという信条から
装飾性は極限まで排されています

それだけに、この類の水盤は飾った水石と一体になり、引き立て役としての評価が非常に高く
水盤の名品・逸品の名を欲しい侭にしているものが多く存在しています

特にこのようなミニサイズの水石用の水盤は希少です


すっきりとした側面をのぞく角度より


足は胴と別に作られ後付された「付け足」であることがわかります
故に↑での解説に「切り足風」と述べました


留佩(りゅうはい)珠佩(しゅはい)の系統以外の白交趾水盤には見られない堅牢な土目
高温の焼成により雅味深い趣をていしています

0 件のコメント:

コメントを投稿