2004年9月8日水曜日

臨時増刊号・この人は誰?

貴重な写真が手に入りましたゾ
しかもバリバリの天然色

右手に持つのは筆らい
集中してますね

皆さんこの人が誰だかわかりますか?

掲示板でもメールでもけっこう
お答えを待ってます

ヒントはなーし!



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正解は月之輪涌泉(本名・加藤護一)

掲示板とメールで30数通のお答えをいただきましたが、正解は4通
そのうち2通は同業者、愛好家からの正解はたったの2通、私の予想よりかなり少なかったですね

・写真の登場人物は加藤護一さんです。(M3さん)
ずばり正解、本名でのお答えは玄人好みで、爽快!
勉強してますね

・美術盆器にでている月之輪涌泉さんではないですかね。(佐々木さん)
美術盆器お持ちなんですね、推理も働かせて正解

・結論:①月之輪湧泉、②宮崎一石、③佐野大助(今再さん)
複数のお答え、推理力で三分の一の確立をねらいましたね


月之輪涌泉(本名・加藤護一)  明治41年生まれ

絵付け中の涌泉氏、これはまことに貴重な画像
撮影年月日は不明ですが、おそらく昭和40年代の末ごろと推定されますが

数えてみると涌泉氏はそのころ既に65才ですが、髪も黒々として若いですね
それに、日に焼けた顔や腕の逞しい感じが印象的です

画像を注視してみるといろいろな面白さが見えてきます

涌泉氏が腕の両脇を固め、お腹を作業台に強く押し当てている姿勢、背筋もピンと伸びていますね
細い絵筆の先が揺らがないためにの不動の姿勢なのです

左手にしっかり鉢を持っていますね
作業台に固定しないで描き込むんですね、これも驚き

細い面相筆(めんそうふで)を持つ右手の構え、慎重です
細い線を描く時は、息を止め、一気にいくのだそうです

涌泉氏の姿には強い緊迫感がありますね

さて、作業台の上を見てみましょう

涌泉氏の真ん前には赤絵の顔料を練り溶く印台のようなものと、その下はガラス板
手前の青磁の器は赤絵の顔料(ベンガラ)が入っています

右手前の4鉢は色艶から判断すると、既に完成された作品のようです
この写真についてお電話を下さったH氏は

「意図的に用意されたもので、撮影者に対するサービス精神ではないでしようか」、と推理されました
涌泉氏の人柄を思うと、十分にありうることです

奥にある深めの丸鉢は絵付けが終わっていますが
色艶からしてまだ本焼前の未完成品のようです

さて、背景にも目をやってみましょう
右手奥に小品盆栽たちが見えますね

戦後病気療養中に愛培する盆栽を植えようとしたのが、涌泉氏の鉢作りの始めだといわれていますが
名鉢がぞろっと揃っているようです、涎が出そう!

涌泉に限らず、作家の製作中の姿を写した画像は不思議なほどに少なく
他には平安東福寺・水野喜三郎氏の粘土をこねる写真が有名なくらい

ちなみに、その東福寺の写真は近代盆栽から出版された
「平安東福寺名品集」の表紙になっているほどです

絵付け鉢の最高峰・月之輪涌泉氏の知られざる素朴な素顔を伝えてくれる
神棚に供えて拝みたくなるほどの最高級の資料です

ところで、神業ともいえる名人の作品からすると
立派な工房で威厳に満ちた表情で製作に励む、そんな名人の姿を想像していた方もいらっしゃるでしょう

それに比べて、ここにいる涌泉氏はあまりに簡古素朴すぎる、そう感じるファンの方も多いと思います
みなさんのご感想をお聞かせください

よろしく

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