町直鉢の人気が沸騰しているようですね
私のところへも、Yahooオクへ参加している若手の同業者から「町直ないですかー?」と電話が入ります
今岡町直が作陶を開始した時期は、昭和30年代の末から昭和40年にかけてであると推定され
すでに40年の歳月が過ぎました
初期のころの今岡氏を私は知っていますが、
伊豆の山中に窯を築いてから先の晩年の彼の生涯については、巷間でも知る人も少く
晩年は決して平坦な恵まれたものではなかったと仄聞しています
ともあれ、彼と同時期またはそれ以後に作陶活動をはじめた作家はたくさんいますが
その作品が今日まで盆栽界の厳しい評価に耐え、そして再び脚光を浴びることは稀なことなのです
ものを創作することは、大変な作業なのだと感じます
作者亡き後も、作品自体は盆栽界に存在し続け
必死に戦い続けているのです
「名人・名品」の称号はほんの一握りの人間と作品にのみ授けられ
ほとんどは実用の使い鉢として扱われ、鑑賞物として愛玩されることはないのです
また、例え「名人・名品」の称号の栄誉に輝いたとしても
それは遥かな歳月の過ぎた遠い未来であることがほとんどなのです
創作の喜びを知ってしまった作家にとっては、ちっとも苦にならないことなのかもしれませんが
常に鑑賞者として作品に接している私にとっては
生あるうちに評価されることの少ない芸術家の身の上を考えると
その矛盾に悲哀を感じると同時に、芸術に身をささげたその生涯に感謝せざるを得ない気持ちでいっぱいになります
今岡町直作 変り形丸鉢
左右に紐飾りの付いた巾着型
寸法は4×4×2.7cmのごく小さい豆鉢
初期の作品と思われます
そうですねー
昭和40年代の半ばに今岡氏が洗足池の風致会館で即売しているころの作品のようです
姿に手捻りの即興性があり、作者の創る喜びが伝わってきます
辰砂釉のきらめきが利いていますね
それに、白磁の質がいい
品のよい趣はここからきています
裏正面
ボディーのふくらみ具合に微笑ましい素朴な趣があります
紐も手際よくつけられた感じがして、熟練の技が感じられます
鉢裏の様子
かなりの使い込みの時代感があります
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