2003年9月9日火曜日

市ノ倉石州鉢



市ノ倉石州作
紫泥外縁象嵌額入絵付長方樹盆(しでい・そとえん・ぞうがん・がくいり・えつけ・ちょうほうじゅぼん)

月ノ輪湧泉(つきのわ・ゆうせん)
宮崎一石(みやざき・いっせき)
藤掛雄山(ふじかけ・ゆうざん)
佐野大助(さの・だいすけ)
月香(げっこう)
(抜けている作家の方はごめんなさい・思いつくままなので)

等は絵付け鉢の作家として知られています
市ノ倉石州もその精緻な画風で知られた鉢作家です

作品はそう多くはありません
それだけに貴重な存在です

↑の鉢の象嵌というのは、絵を描く額の部分に磁器をはめ込む技法です
陶器に部分的に磁器をはめ込むので窯に入れた場合に
収縮率が違い失敗の確率が高いといわれますが
石州はこの象嵌技法により幾多の名品を世に出しています

鳥羽僧正の鳥獣戯画から題材をとったものです
うまいでしょ
この動的な絵がみごとに描かれています

相撲に勝ったほうのカエルの得意げなポーズがこっけいですね

2003年9月8日月曜日

取り木の魅力

名木への近道として取り木の技法を活用しましょう

ピラカンサの取り木物です
おそらく取り木後3年くらいは経っているでしょう

親幹と右の子幹のバランス、また全体の流れが非常にいい
それに幹の古さが申し分なく、取り木の技法のありがたさを感じます

挿し木の苗からこれだけの古さまで持ち込む年月を節約できるんですよ
何十年の節約!
有限な時間です、大切に使いましょう


ピラカンサの取り木は根張りが大きく発達します
この根元はまだ未発達です
そのあたりから判断して取り木後3年くらいと判断しました

取り木は時間の節約です
取り木をしよう!

2003年9月7日日曜日

美男桂の実



この不思議な形の実が秋の深まりとともに真っ赤に熟します
美男桂の実です

一本の木に雌雄の花が咲くので
真夏の早朝に、雄花を採って交配します

この実の形と色がおもしろいので盆栽界では非常な人気樹種です
秋の展示会に彩りとして一鉢は持ちたいですね

ちなみに食用に向くかどうかは試したことがないのでわかりませんよ

2003年9月5日金曜日

ネットで講評2

ネットで講評の二番バッタはー「リョウ」さん
ご自分で実生から25年丹精した楓を投稿されました

樹高 15cm・ 樹幅 22cm・ 根張り(盤根状 12cm)

今後は、枝のほぐしを重点に手入れをしたいと思っております。
ことしは、冷夏のせいで葉がやや大きくなってしまいました。
もう一度葉刈りをした方がいいでしょうかね?

というコメントが添えられています

「みなさんへ内緒話」
これはやりにくい、実生して数年のものならメチャンコ言えるけど
へたをすると、リョウさんの25年間の歳月を否定することになちゃいますからね
これは甘口にならざるを得ないかも

それでは心してはじめます



正面の図

1 根張りよーし

2 幹も(太いね)よーし、微妙なユスリもある、これもよーし

3 枝順は見えないけれど、枝下の左右の空間がきれいです
  この空間の形から推測して、よーしと思えます

4 樹冠も見えないけれど、幹のコケ順から推測するとよさそうです

5 枝先のほぐれはご自分でも言っているように、さらなる努力が必要なんでしょう

6 培養面では、再度の葉刈りは気候からして無理しない方がいいでしょう
  かわりに、大きめの葉を処理してフトコロ芽の充実をはかってください

と、ここまでは言うことなしの状態ですね
しかしこれからが本番です

1 枝はよく見えないが、枝元がやや細いように思えます
  古木の相を表現するには、最低一と二の枝に力強さが欲しい
  それにより全体の表情が一段とはっきりします

2 鉢の選定です
  現在の鉢も写っています、形も色も
  けれど根張りがいいので、どうでしょう、楕円の鉢を試してみたら
  楕円は奥行きがあります

3 後ろ枝の利いたのがあるのかな?画像ではちょっと見えないのですが
  落葉後の裸の写真を見たいですね

全体の講評
25年間のリョウさんの努力に敬意を評します
またその技術も高く評価します

こんごも本番の(1)に留意して、なお樹格の向上を目指してください
いいですか、盆栽には表情が大切なんです
わかっていただけると思います

みなさん、わかりますかー!
  


側面の図



後姿

2003年9月4日木曜日

これは便利

生活上のことでも、ちょっとした工夫でかなり便利になることがあります
盆栽のことでも同じです


肥料をやっても落ちやすい
植え替えたばかりは表面が落ち着かないで水やりのたびに土が流れる

お困りの方は、ネットを活用しましょう
蜜柑などを入れて売っているビニールのネットです


適当な長さに切って鉢の下から履かせます


上部はこんな具合です
特に縛ったりはしません

これだけでOK
肥料は落ちないし、土も流れません

ここれは便利だ裏技です

2003年9月3日水曜日

傷の修理痕



足が少し欠けた大助鉢を見ました

欠点はあってもこの鉢は、とても小愛嬌(こあいきょう)があり
大助鉢の作風としては珍しいもなので購入しました

手前の足に傷の修理の痕がありますね
欠けた部分を樹脂のようなもので修理してあります
義足のように足を継ぎ足したのです

これなら実用にも向きますね

傷の修理の仕方はいろいろありますが
ここが傷の箇所だと分かる方法でもいいから
本体を傷つけないように
あっさりと修理して使えるようにしてある場合は好感が持てます

反対に目立たないことを第一に考えて修理してあるものは
場合により悪用される恐れもあり、気をつけるようにしてください

修理の技術も年々向上して
生半可なプロでは見破れないものも市場に出回っています

機会を見てそのほうの勉強もしましょう

2003年9月2日火曜日

深山かいどう



姫りんごの仲間の深山かいどうです
この画像の深山かいどうは小さい鉢に入ったミニ盆栽のせいもありますが
もともと実の小さな種類です

一口に深山かいどうといっても実も枝の性質もたくさんあります
小実のものから姫りんごに近い大実のものまであります
色艶もそれぞれです

盆栽向きの品種は小実で葉が小さく、枝伸びのしない品種です
このような性質のものは平均して木肌も荒れやすい性質をもっています

園芸品種で、実の色が真っ赤で艶があり大きめのものなどは
枝が粗く、木肌も雅味がでにくいので盆栽向きとはいえません

おなじ深山かいどうにも盆栽向きの品種があるということを覚えておいてくださいね
これを無視すると、いくら努力しても結果は得られませんよ

2003年9月1日月曜日

是好鉢


ミニ盆栽で有名な中村是好さんは
晩年になってさかんに鉢の絵付けをしました
ボディーは、薩摩焼とこの鉢のように半磁器に白磁ものとの二種類が知られています

描かれているのは鳥が木に止まって木の実(柿)を食べようとしている図です
裏側には「この道やいく人なしに秋の暮れ」と俳句が書かれています
おそらく芭蕉の句でしょう
是好さんの署名もあります

使い時代も十分でサビのある鉢ですね





落款は本体を作った人のものです
「矩」という字です
辞書で調べると(さしがね・かねざし)と読むそうです

不思議なことにこの人物のことはほとんど知られていません
是好さんの口から聞いた覚えもありません
是好鉢の不思議とでもしておきましょう

2003年8月31日日曜日

竹本辰砂

竹本隼太は幕末の人で、4千石の旗本であったそうです
維新後陶芸の世界に入りました
かなりの変り種といえるでしょうね

さいわい我が盆栽界にも、小鉢を中心に幾多の名品を残してくれました
今日はその作品を見ながら陶芸の世界でいう
「釉溜まり・くすりたまり」の魅力についてお話します


竹本作
辰砂釉正方樹盆(しんしゃゆうせいほうじゅぼん)
(間口6.7cm×奥行6.7cm×高さ3.1cm)

濃い赤紫の釉薬が足元すれすれのところで止まっていますが
ころあいを見計らって窯の温度を下げなければ
釉薬は足元を覆い隠すほどに流れてしまいます

陶芸家にとってこの瞬間の判断が難しいそうです


このように上のほうから熱に溶けた釉薬が足元の手前で止まって
ぽってりと溜まった箇所を「釉溜まり・くすりたまり」と呼びます

釉薬の量感が感じられてとても魅力的で
鉢の愛好家にはたまらない景色です

みなさんもこれから焼き物をみるときには
この釉溜まりに注目してみましょう

2003年8月29日金曜日

涌泉鉢絶品


久しぶりにある盆栽界の古老を訪ねました
もちろんお目当てはこの湧泉鉢です

親子ほど年の違う間でも友達です
盆栽が人間関係をそう導いてくれるのです
これがこの世界のいいところ

ひときり昔話に花が咲きました
「宮ちゃん、子供大きくなったろ、なに、もうおめえもおじいちゃんかい、孫はかわいいだろ」

もーッ、おれをいくつだと思ってんだよ、孫の話は前にもしたのに
古老の頭の中の私は、駆け出しのころの私なのです

そのうち話が月ノ輪湧泉鉢のことに及ぶと、古老の目がさらに輝いてきました
目の奥には隠そうとしても隠し切れない、商売人独特の厳しさがチロチロと見えるのです
(私も商売人ですからわかるんです、プロを相手にしたときのプロの目が)

この厳しさがいいんです
これのないプロはやる気のないファイターみたいで魅力がありません
この目の輝きがある以上、この古老はまだまだ長生きしますよ

古老は気に入っているこの湧泉鉢は、とうとう言い値から一円も負けてくれません
よほど気に入っていたのですね
とはいえ何十年の長い付き合い、他のものは破格の相場でわけてくれました


間口はたったの5.8cm
実物より大きく見えます
線が端正でゆるみがありません


スキャナーで画像を取り込んでみました
繊細なタッチ、しかも線に力があります
この二つが大切です
精密なだけではつまらない絵になってしまいます


裏面の絵
まさに月ノ輪湧泉の円熟期の作品です

2003年8月28日木曜日

盆栽の生い立ち


この山もみじの盆栽はどのような生い立ちをもっているのでしょう
誕生したのは実生、挿し木、取り木、接木、それとも山採り?

生まれた場所は?
年齢は?
今までどこに住んでたの?

盆栽に聞いても直接答えてはくれませんから
姿形や鉢や雰囲気から推測するほかはありませんね

まず出生の秘密からいきますと、、取り木によって生まれた可能性が大です
一の枝が足元の低いところにあります、これが見分けのポイントです
実生苗から育てると、このように低いところに枝はできません

挿し木も考えられますが、もみじは挿し木の活着率がわるく、あまり普及していません
実生か山採り(おそらく実生)のかっこうのいい箇所に取り木をかけた素材から仕立てたものでしよう

樹齢も推測するほかありませんが
おそらく25~30年くらいでしょう
樹齢のはっきりしている他の山もみじの盆栽との比較や長年の経験から、推測します
やせ気味に作っているので、思ったより年はとっているようです

今まで育った場所は?
これも長年の経験からくる勘に頼ります
ずばり、愛好家の棚で長い間丹精されてきたものです

そのポイントは鉢です
はっきりいって映っていませんね、強すぎます
力のある松類に使う鉢です

プロでしたら売ることを考えてもっとやさしい感じの鉢を使うはずです
もちろん愛好家も鉢には神経を使いますが
もともと売り物ではないので、普段着でのんびりしていることもけっこうあるんです

長くなりましたが、山もみじの出生の秘密を推理してみました
おもしろかったですか?

2003年8月27日水曜日

雄山鉢鑑賞2

さて、今度は角度を変えて眺めてみましょう


右側面からの図です
絵がつながって描かれていますね
これを回り絵と呼びます、作家としては面倒な作業だといわれています

ボディーのわりに足が小さいことに気がつきましたか?
全体の姿がすっきりしているのはこのせいです
ボディー、足、縁などの調和はかなり難しいと思います
みごとな統一感です


裏面を同じ角度から見てみましょう
絵の向きが反対に描かれています
これは盆栽を植えた場合に、盆栽の向きによって両方を使い分ける為です


雄山は鉢裏に凝ります
中央の部分を一段掘り下げてあります
こういう底を押し底と呼びます

落款は雄山としてその周り線で長方形に囲っています
この落款は比較的古い時代のものです




両側面の絵です
側面といえど手を抜いてはいません
みごとに描ききっています

2003年8月26日火曜日

雄山鉢鑑賞1

藤掛雄山をかの月の輪涌山の再来と称する向きもあります
それは少々誉めすぎとしても
月香と並び、現役絵付け鉢のトップであり
やがては盆栽小鉢作家として古典の仲間入りする存在であることは確実です

その雄山鉢の五彩(ごさい)の名品をご紹介しましょう

この長方鉢は6~7年前に私が親しい愛好家にお譲りしたものですが
皆さんにお見せしたくてお借りしてきました

サイズは間口12.7×奥行10.5×高さ4.2cmで
雄山の初期から中期にかけての油の乗りきった時期の作品と思われます


重厚な形状とすっきりとした足元
白磁の色も純白で光沢があり、雄山独特の淡い色彩の色絵を引き立てています
的確な筆図使い、構図の巧みさ、遠近感など
雄山の熱い情熱が伝わってきます


淡く押さえた色調がここまで鮮やかに人の眼を引くのは
澄み切った純白の白磁の効果であり
また雄山の筆力によります


縁の四隅に菊の文様
雄山はあくまで隅々に神経を行き届かせています
もしこの文様が描かれていなければ
鉢全体の色彩の統一感は減じることになったでしょう

2003年8月25日月曜日

山採りの傷


ならの山採り
半懸崖式の迫力ある樹形です

これは富士山麓で山採りしたものです
あの辺の厳しい自然環境でなくては、このように小さなならの素材は無理でしょう

これらを採取するときには、富士砂と呼ばれる砂利状の地面に自生しているため
スッコップが利きにくいので、チェーンソウも併せて使うそうです

そのチェーンソウで誤って幹に傷をつけてしまったのですが
あまりに骨格が優れているので、鉢に入れて育てたそうです


見えますか?
立ち上がりからやや上の部分に幹を横断する直線の傷
これがチェーンソウのものです
もう少し深ければ幹は切断されていたでしょう

無残ですが時間をかければ肉が巻いて
かなり目立たなくなるはずです

すんでのところで命拾いしたならの盆栽君でした

昔、断崖絶壁に自生する糸魚川の真柏の山採りに挑み
幾多の尊い命が失われたそうです

そんな盆栽史が頭をよぎりましたが
富士山麓なので
チェーンソウで幹を傷つけてたくらいで済みました

2003年8月24日日曜日

盆栽用語の2

私らが無意識に使っている盆栽用語も
こうして思いつくままにならべるとけっこうありますね

[ふところ]        内側、なかがわ
              ふところ枝、芽ー輪郭線より内側の枝や芽のこと

[ききえだ・利き枝]   構図を形つくる重要な枝のこと

[こやす・肥す]      肥培すること肥料をやって太らせること
、
[こまる・困る]      弱ること、樹勢がおちること

[ふっこむ・吹っ込む] 小枝が細かく密になりふえること

[さばく]          整理すること  根さばき・枝さばき

[ニュー]         割れ傷のこと

[ホツ]          ぶつけた傷のこと

[カマキズ]        窯のなかで焼いている最中に火の加減でできた傷のこと

[さく・作]         培養のこと 作がいいー培養管理がうまくいっていること

[やまい・病]       病気のこと 

[ねむる・眠る]     冬眠するなど活動しれいない状態のこと この盆栽は眠ったままだー冬眠から醒めずにいること

[かぜ・風邪]      寒がっていること この木は風邪をひいている

[しょうき・生木]     実生木のこと

[つぎ・接]        接木で仕立てた木のこと

今日のところはこのくらいにしておきますが
まだまだ出てきそうです

2003年8月23日土曜日

ネットで盆栽講評

新企画[ネットで盆栽講評]のトップバッターは山梨県の今再さんの真柏です
毎回掲示板に盆栽の画像を投稿していただいており
その力まないおおらかな人柄は掲示板のカキコの文章からも読み取れますね

さてそれでは盆栽のほうを拝見するとしましょう



挿し木の苗を、人工的にぐりぐりと捩じるように針金を掛けて仕立てたもののようです
葉は細かく色もきれいで、いわゆる葉性(はしょう)がいいです

1 将来目指そうとする樹形がはっきりしていません
  模様木はわかるんですが、芯の部分がうつむいているのが、いかにも無目的です

2 芯と枝に針金をかけて、目指す樹形の基本の図柄を出しましょう

3 その際、根元から捩じれた幹の味が、芯に行く部分で平凡になってしまっているので
  芯に近い箇所にも強い屈曲をつけてください、寸法も短くなり、一石二鳥です

4 葉は細かく色もきれいで、いわゆる葉性(はしょう)がいいので楽しみです

5 また足元からの曲がりがおもしろいので、ここを強調するような樹形を考えましょう
  芯の部分の幹、樹冠の輪郭はおおよそ赤線で示しました
  かなり追い込んで小さくします

6 以上の改作を試みて再挑戦してください

2003年8月22日金曜日

町直鉢


今岡町直作
辰砂釉切立正方樹盆(しんしゃゆう・きったて・せいほう・じゅぼん)

私が盆栽をやるようになって初めて接した小鉢が町直鉢でした
当時、東京は洗足池の風致会館という場所に
中村是好、明官俊彦、佐野大助、田代与志、岡田晃などそうそうたるメンバーが集い
講習会や展示会を催していました

その集いに、ひよっこの私も何度か参加しました
そこで今岡町直氏が自作の鉢を販売していたのです

背の高い上品でハンサムな中年の紳士で
なんでも学校の教師をされているということでした

その頃の今岡さんの鉢には
500円から高いもので3,000円くらいの値段がついていたのを記憶しています

欲しかったけれど3,000円の小鉢は買えませんでしたね
せいぜい500円から眼いっぱいで1,000円くらいまでの小鉢を10個くらい買ったでしょうか

いま思い出すと、そのときの3,000円の小鉢は素晴らしい作品でした
町直得意の青磁に辰砂の釉薬が縁にかけられ、それが劇的に垂れていました

今では町直鉢もコレクターが手放さないため、いい作品を市場で見ることも稀になりました
もっと買っておけばよかった思いもしますが
35年も前の私にはそれだけの鑑賞眼もなかったし、先を見通せる経験もありませんでした
だいいち買ったとしても今まで持っているなんてことは、考えられませんね

2003年8月21日木曜日

山もみじ素材

足元の根張りと幹筋が抜群の再生用の山もみじの素材です幹肌も縦縞が入って、バカ古です

こういう好素材に巡り会うと、ついついこの盆栽の生い立ちを考えてしまいます
どういう持ち主に育てられてきたんでしょう

こんないい素質を持ちながらろくな面倒も見てもらえなかったのでしょう
世が世であれば、名木とほめちぎられているはずです

でも今からでも遅くはありませんよ
盆栽の一生は長いんです
適切な培養と技術により脚光を浴びる存在になることが可能です



根張り、幹模様、木肌など申し分ありません

向かって左の一の枝は不要です
その下の丸印の箇所に一の枝があれば理想です

二の枝は間延びしていますが使えます
矢印のところに芽があります、その芽を大事にして将来の二の枝にします

向かって左の上部の矢印が三の枝です

裏枝も適切な箇所にありません

来春にきちっとした根さばきをしてやや大きめの仕立て鉢に植え替えます
同時に不要枝は元から切ります

有用な枝は約1cm残して切ります
残した枝元から芽が吹きますから、その芽を伸ばして枝にします

枝のないところには、呼び接ぎをして枝を作ります
そのためには、不必要な箇所の芽を徒長させる必要があります



2~3年計画で枝の基本を作っていけば
将来は立派な山もみじの小品になります

そのためには、つれづれ草で呼び接ぎの技術を紹介する必要がありますね
適した素材を確保しておくことにしましょう
呼び接ぎの技術を習得すると、雑木盆栽作りの幅がグーンとひろがります

2003年8月20日水曜日

盆栽用語

盆栽界には特有の用語があります
用語辞典を作るほどではないけど、中には解説しないとわかりにくいものもあります
今日はそのなかから思いつくままに幾つかとり上げてご紹介します

[からい] 少ないこと
      水がからいー水やりの量が少ないこと
      
[がれる] やせること・弱ること
      この木はがれているーやせて弱っていること

[たっぱ] 背の高さ・寸法・サイズのこと
      たっぱが高いー背が高い

[きせい・樹勢] 木の元気さのこと
          樹勢がいいー元気がいいこと
          樹勢がわるいー元気のないこと

[追い込む] 切りつめること
        枝を追い込む・一の枝を追い込む

いかがですか?

ちょっと紹介しただけでも幾つかわかりにくいものがあります
こんな盆栽界にだけ通用する言葉を使うと、ベテラン気分ですね
機会があればもっとまとめてと紹介しましょう

2003年8月19日火曜日

隠れたおしゃれ


藤掛雄山造
染付撫角長方樹盆(そめつけなでかくちょうほうじゅぼん)

鶉(うずら)は絵付けの題材として好まれます
周り絵で5羽の鶉が描かれていますが、
それぞれに異なった動作をしているのが印象的です
小さい鉢ですが力作です

撫角(なでかく)とは、丸みのある角のことです
また、周り絵とは、4面の絵がつながっていることをいいます

ところで、盆栽鉢は、盆栽の引き立て役という大前提があります
雄山はその点を配慮して、やや淡い呉須(青い釉薬)を使い
ほどよく余白をとり、繊細なタッチで描いています

そして、ある面制約された作者の真情が思わず表面ににじみ出ているのが
鉢裏の装飾であると私は考えます
みなさんそうは想いませんか?


内側に文様を描いて透明釉を施し
またその内側を、木瓜型(もっこがた)に一段低く削り取り
雄山と独特の字体で落款を書いています
じつにお洒落ですね

雄山がときどき見せる技です
絵付けをする作者が、もっと描き込みたいとの欲望を抑制し
鉢底の文様にその気持ちを吐露しているような気がしてなりません

題目は「隠れたお洒落」としましたが
「隠された欲望」とでもした方が適当かもしれませんね