掲載した2ツの鉢は佐野大助の作品です
上の作品は大助の傑作といえるできばえです
ところが下の龍の鉢は絵のタッチも乱暴ですし
額縁の縁取り部分など、筆の乱れがあります
同じ人間が作ったにしては違いすぎる作柄です
このように、同じ作者の作品を比較する場面になると
どうしてこのようなでき不出来が生じるのか
つくづく、芸とか技とは実に不思議なものだと感じます
ものを創る人の心の中をのぞいてみたい気がしてきますね
みなさんはどう考えますか?
佐野大助鉢(蕎麦釉外縁浮彫絵付長方樹盆)
赤味のしっかりした生地に青味かかった蕎麦釉を施していあります
絵模様は俗にいうところの「月に落ち雁」です
中秋の大きな月の前面に穂の出た葦を大胆に描いた構図は見事です
「夜の雁や 葛飾の野に みな落ちぬ」 秋桜子
北からやってきた雁が、長い旅を終えて次々と空から降りてきます
絵師大助の優れた力量と博識、まさに円熟期の作品です
佐野大助鉢(瑠璃額面絵付丸型樹盆)
三足の丸を三面に区切って絵付けをしてあります
絵は龍の図で描き込みはなかなかのものです
しかし、大助にしては額面の縁取りなどにやや粗雑なところが見えます
最晩年の作ではないのですが、正直上作とはいえません
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