盆栽界で最も人気のある平安東福寺の鉢の作風は非常に多彩です
それは形、大きさ、土、釉薬のすべてにわたります
焼しめもの(釉薬をかけないもの)においても用いられている土はさまざまです
今回は古い支那鉢にみられる、南蛮風の土を使った外縁長方の鉢を考察してみます
大きさは間口16.6cm 奥行き11.8cm 高さ7.0cmです
重厚な縁が外側に向かって張り出しています
胴の部分の曲線に美しい緊張感があります
胴の下に紐状(ひもじょう)のアクセントがつけてあります
こういう形を外縁下紐長方(そとえん・したひも・ちょうほう)と呼んでいます
もしこの下紐がないとすると、縁の重厚さばかりが目立ってしまうでしょう
全体の強弱を考慮に入れた優れたデザインです
足はおとなしく平凡な切り足(きりあし)です
雲足(くもあし)でも映るでしょうが、豪華すぎないように配慮された結果だとおもいます
鉢の内側です
縁は内側にもやや張り出しています
製作過程で、内側の隅の接続部分が粘土で補強された様子がわかります
(隅の縦のヘラ跡です)
荒々しい重厚な土目(つちめ)と使い込んだ時代感もわかりますね
鉢裏の様子です
東福寺の特徴がよく表れている足の形です
(惜しいかな一箇所に足の欠けがあります)
落款は楕円に東福寺です
この落款も東福寺が好んで使ったものの一つで
俗にわらじ落款と呼ばれています
下紐の部分です
紐のやや上の時代のついていないところにヘラ痕がみられます
東福寺の鉢はこのように作者の手のぬくもりが直に感じられるのが特徴です
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