2005年1月9日日曜日

国風盆栽展舞台裏 1


第一回国風盆栽展写真帖より・国風盆栽会副会長・酒井忠正伯爵の小品盆栽棚飾り (於・昭和9年東京都立美術館)

新しい年を迎えるとともに一流盆栽展示会のシーズンを迎えます

現在、京都において小品盆栽の「雅風展」が開催されていますし、13日からは東京大丸の「日本盆栽作風展」
そしていよいよクライマックスは、2月9日からの上野公園の東京都美術館における「国風盆栽展」です

その国内最大の盆栽イベントである国風盆栽展には約250席の入選作品が展示公開されますが
搬入・審査・写真撮影と事前の下準備に3日間かかります

ところがその下準備は、本番の展示会開催の約2週間前に行われるので
審査を受けるために搬入されめでたく入選した盆栽は、その後に再び運搬されることになり
どんな遠方からでも東京上野へ2往復することになるわけです、北は北海道、南は九州・沖縄からですよ

たいへんな時間と費用をかけて日本中の名品の大移動が行われるわけで
その様子からも、さすが日本最大の展示会といわれるだけのことはあります

審査には約500点からの応募があり
入選は約250点ですから入選率は約50%くらいの厳しさ、まさに狭き門です

それだけに愛好家の盆栽を搬入する業者(日本盆栽協同組合員に限る)はみな必死で
第1日目の搬入日など雰囲気はピリピリです

次々と到着する盆栽を横目で見ながら、内心自分の搬入作品と比較しているんです
うひゃー、いい木が来たな、こりゃ負けたかな!
しめた、この程度なら、こっちの勝だ!

ところで、国風盆栽展といえども、盆栽愛好家や盆栽業者が盆栽文化の向上と普及を目的に
国風盆栽会を発足させた、昭和9年から戦後の高度成長期以前までは、大変な苦労の連続であったようです

まず、盆栽愛好家が現在と比べ物にならないくらい少ない
それは数十年前の国風盆栽展の写真帖を見れば一目瞭然です

愛好家の中に混じって数合わせの出品でしょう
盆栽業者の作品もかなりあるのです、つまり定員割れ

もちろん入選率が約50%の現在では業者(日本盆栽協同組合員)の応募は認められませんし
決め事の隙をついての、例えば家族の名前を使っての応募なども皆無です

その面でも、長い歴史を経て純粋に盆栽愛好家のための展示会として誇れるものに成長した、といえるでしょう

0 件のコメント:

コメントを投稿