2006年8月1日火曜日

東福寺真贋比較

小鉢界において平安東福寺の格付けは、まさに最高峰
それだけに、巷間には真贋にまつわる物騒な話もたくさんあるようです

しかし、愛好家のみんさんが犠牲になって
盆栽界に失望するようなことがあってはなりません

転ばぬ先の杖、ともかく贋物を掴まぬようにするためは
平素からの勉強が大切です

ちょうどホンモノと紛らわしいかっこうの教材(?)に出くわしたので
みなさんにお見せしようと購入しておきました


間口7.5cmの灰釉(はいゆう)の手捻り東福寺、これが真っ赤な贋物

東福寺鉢の中には、泥ものとして作られた鉢を
他の作家が後日に釉薬を施し、改めて焼き直した作品も散見します

そのような鉢を「焼き直しもの」といいますが
この作品はちょっと見でその類に見えるので、初心者はもちろん中級くらいの方も引っ掛かりそう


比較の教材、手捻りの焼締めもの、これは正真正銘のほんものです


鉢裏を見ます、まるで「焼き直し」のように見えます

時代感がないのが「焼き直し」の特徴
使い込みの時代感(不純物)は焼き直しの際に、高温で燃えてしまい、このように出来立てのようになってしまうのです


ほんものの鉢裏と足の様子


足の形や付け方はかなり似ているが、わずかにぎこちなし
東福寺手捻り鉢の特徴である、足の内側の「折込の溝」が不自然です


東福寺の手練が感じられるほんものの足の作り
さらに、水穴の周りに、穴を開けた際のバリが見えます、これもほんものの特徴です

また、足の内側の「折込の溝」も自然な感じですね


東福寺の落款が捺されている位置に注目
この贋物の落款はわずかに内側に捺されています


ほんものの落款の捺されている位置
外側近くに捺されているのが平安東福寺手捻り丸鉢の癖です、これも重要


内側から見たにせものの水穴


内側から見たほんものの水穴
ざっと面取りしています


外側から見たにせものの水穴


外側から見たほんものの水穴
作業が手早く行われた感触が伝わってきます

この手早いという感覚が東福寺鉢の特徴です

2006年7月25日火曜日

きんずの培養法2

前項の画像をもっとていねいに処理しました



来春5月までタップリと元気をつけておいき、一気に追い込む計画です
幸いなことに、きんずは切込みにはめっぽう強い樹種で、めったなことで傷が「ヤケ込む」ようなことはありません



足元の直径は4.2cmとかなりの太さ
予定樹高は9.0cmで楽々とおさまるので、予想図のような本格派模様木を目指します

さて、今日の本題の「きんず培養法」にいきましょう

1 年間を通じ雨の当たらない置き場で管理する
2 寒さ対策を万全にする
3 水はけのいい用土で植え込み、やや乾かし気味の水管理とする

この三点を忠実に実行すれば、今までとは格段の、信じられないくらいの成果が約束できるのです
では、その詳細をお話しましょう

1 きんずは、雨、まして今年のような長雨に当たると、根が冷えてすぐに根腐れをおこします
  また、すす病などにかかり樹勢を損なう原因も雨なのです
  
  絶対に雨に当てない!
  活動期、盆栽屋.comではきんずは軒下で培養、吹き込むような雨の場合は作業場に避難します

2 晩秋には越冬のため、早めにムロに囲います
  厳冬期の最低条件も、鉢が凍らない場所、可能なら5度以上の温度を保って越冬し
  春のムロ出しも、4月末ごろまで我慢します

3 やや粗めの土で水はけよく植え込みます
  乾いたらたっぷりと水をやりますが、鉢土がいつもさっぱりした状態が望ましい
  鉢の表土に苔を生やさない、これも案外重要
  肥料は普通にやります

なーんだ、秘伝だなんてもったいぶったって、そんなことかー!?

ちょっと信じられない方もいるでしょうが、騙されたと思って実行してください
やさしいようで案外難しいことばかりですよ

では

2006年7月22日土曜日

きんずの培養法

この春先にきんずの好素材に巡り会いました
ご覧のように枝数も多過ぎて伸び放題ですが、肝心の根張りと幹筋と枝順はしっかりしています

数年かかるでしょうが、思い切った改作をし
きんずミニの名木に挑んでみるつもりです

人気樹種のきんずですが、名木が極端に少ないのが悩みの種
それはきんずの培養法の難しさから来ているのです

そして、きちっとした培養法が一般に知られていないため
ほとんどの名木が命半ばに元気をなくして瀕死の状態になってしまうことが多いのです

ここでひと踏ん張り、盆栽で長年ご飯を食べさせていただいた皆様へのご恩返し
きんず培養の秘伝、必勝間違いなしのウルトラ培養法をお教えしましょう



樹高7.0cmの箇所で切り戻しの予定
完成予定樹高は9cm
(現在の足元の幹の直径は約4.2cmです)

どうです、しっかりした骨格でしょ
根張りは八方に張っていて太い幹にもゆったりとした模様が入っています

完成のあかつきには、堂々たる風格を持った
本格的な模様木になるでしょう



現在の姿

購入した時点ではかなり樹勢が落ちていました
暖かくなる5月まで待って仕立て鉢に植替え

早く上の画像のように、芯や枝を切り詰めたい(今でも十分可能です)のですが
これほどの好素材なので慎重を期し、来春まで辛抱することに決めています

づづく

2006年7月18日火曜日

荒皮まゆみの名木




親しい友人(同業者)が仕入に行くと聞いていたので、翌朝6時に電話する

人さまの家に朝6時の電話をかける行為は普通は遠慮しますが、この場合は断じて別
何故って、仕入れた盆栽を一番乗りで物色するためなのです、許されよ!

内容を聞いてみると、まあまあの盆栽を10点ほど仕入れたとのこと
約40分くらいの距離なので、ともかく一番乗りを約束し、朝飯も食べずに、そく出かけました

盆栽屋同士の「一番先に見せる」という約束は、文字通り先に他の人には見せない(隠しておく)
もしくは、買いたい人が来ても売らない(二番手は私の選ったあとで物色する)ということなのです

このように、盆栽の仕入れには、普段からのコネクションと情報収集
それに約束事がものをいうんです、口約束でも契約は契約というのが盆栽屋流

というわけで、着いてみると、10点のうちでこの荒皮性のまゆみだけが、ばかに光って見えました
それもそうです、他の9点もそれなりにイイものでしたが、このまゆみと一緒にされては、とたんに霞んでしまったのですね


「こんな素敵な奴にはめったに出会えないぞ!」
ミニ盆栽懸崖としてこれ以上ないと思えるくらいの理想的な姿で、一分のすきもなし、完璧!

山で皮性(かわしょう)と枝性(えだしょう)の優れたものを探し出し
根伏せで殖やしたものだそうで、樹齢はおおよそ20年に近いでしょう

根元から立ち上がった幹に微妙な模様があり、ここが第一の見せ場になっていて
とても10cm以下のミニとは思えない迫力が感じられます

下垂した枝先も長すぎずしまっていて、バランスがいいですね
枝が長すぎるとせっかくの足元の力がボヤケテしまうのです

ともかく、超一流の展示会(国風展・雅風展)に楽々と通用する最高レベルの名木
鉢も無名作家のものですがよく映っています

まあ、しいてこのまゆみの難点を上げるとすると
このまゆみが完璧すぎちゃって、席飾り際にふさわしい相棒たちを見つけるのに苦労するだろうな、ってことでしょう


足元の拡大図

立ち上がった幹の動き(模様)
躍動感がありますね

木肌の荒れにも迫力と気品が感じられますね
根張りまで荒れた木肌にご注目


立ち上がった幹が激しく屈曲して下垂する角度もよく
縦に深く割れた幹肌も魅力満点です


上方から見ると、根元から枝先までの距離が案外に短いのが、よーくわかりますね
さきほど言ったように、この距離が長いと樹形がダレテしまうのです


上から見ても幹に模様があります
この上からの模様が全体の樹形に動きと変化、それに奥行きを与えているのです


盆栽界の格言に「名木に裏表なし」とありますが
まさにそうですね、どっしりと落ち着いた風格のある後ろ姿です

今日は最初から最後まで自慢話でした
では

2006年6月16日金曜日

真柏の重心移動

たった1年間の、ちょっとした工夫と努力で盆栽はこれくらい変ります


昨年秋 整枝前の姿 現在の姿

唯一最大のポイントは、左方向にあった頭の位置(赤印)を思い切って右に移動したことです

つまり、「盆栽の重心の移動」を行ったのです
これって大切なことですよ

整枝前の画像だけを見ていると案外に気がつかないでしょが
やはり左方向に張り出した幹の流れに緊張感が足りなかったのです

いかがですか?

これにより

・整枝前より幹の力が強調され迫力が出た
・左右の幅が詰まり空間の緊張感が増した
・向かって右側面から後ろ枝がのぞいき奥行きが出て、より風格が感じられるようになった

もし以前の姿のままで右に後ろ枝をのぞかせたならば
全体の姿がダレタ感じとなり緊張感が失われます

枝葉末節よりも骨格の強調、そして緊張感と迫力のある構図
これを見抜く力を養いましょう

「盆栽の重心の移動」
この言葉、覚えてください

なお、真柏の鉢については、濃い緑の葉との調和のいい朱泥の鉢が好まれます
盆栽の写真帖などを参考にしてください

2006年6月10日土曜日

鉢の傷について

インターネット取引の時代になり
「鉢の傷」についての認識にかなりの個人差が出てきました

「もの」を目の前にした以前の取引では
「ここにチョットしたホツレがあるけど、あまり気にしなくてもいいでしょう」くらいの

盆栽屋一流の雑な説明で済みましたが
画像を通じてはそう簡単にはいきません

どこまでを傷と表現すべきかの判断
さらに、画像ではわかりにくい大きさや深さなどの補足説明、これも案外難しいものです

微妙な欠点の場合、プロ同士であれば、「実物を見て自分で判断してください」などと
買い手側の判断に委ねてしまう「無責任な方法」もあるんですが・・・

まさか愛好家さんに向かってそうはいきません
納得のいく認識と説明はプロの責任として絶対に必要なことです

それについて、ある若手の業者が言いました
「中古車の査定のようなマニュアル作りをしたら、より正確な評価が出るんじゃない」

確かに欠点について細かく減点方式で定めを作るのは、一つの方法ではありますが

盆栽鉢は時代を尊び古さを愛でる総合美の世界であって
出来立ての新品が価格の出発点である車とはかなり性質が違いますね

「業界に鑑定委員会を作りましょうよ、宮本さん、まとめてよ」
と言われたこともあります

しかし、仮に親しい人の依頼品であったら・・・
万全の自信はありませんね、正直言って、自分の品に厳しい姿勢で臨むことの方がより容易に思えます

ともかく、傷についての正確な情報を伝えられる努力と研鑽を摘むことによって、盆栽界がより成熟し
その先に新しい約束事が築かれることを願っています


大正時代に中国で製作された紫泥袋式楕円鉢


側面よりの全体図


一方の正面の縁にホツ(大きさ深さとも1ミリ以内)が1箇所見られます
ニューはなし


足にも少々のホツが見られます
ごく古くにできたもので傷の上に時代がのっているほどです
(足の傷は縁などの傷よりも軽微とされます)


大正時代に中国で製作された紫泥袋式楕円鉢


土目の輝きを拡大してみました


側面の縁にホツ(大きさ深さとも1ミリ以内)が1箇所見られます
ニューはなし

製作から1世紀を経てこれほどに使い込まれた鉢には
たいていの場合、これくらいの微細な欠点が存在します

ただし、欠点は欠点ですね
これら以上に時代感があって無傷完品の鉢は存在します

しかし、現代鉢と異なり100年の歳月を経た時代ものです
鑑賞を主たる目的とせず、その風格を重んじ実用鉢として再評価をしていきましょう

2006年6月9日金曜日

一石五彩鉢鑑賞

一昔前、一足違いで買い逃がした懐かしい一対鉢を手に入れることができました
機嫌は上々!

同じ寸法、同じ形、さらに同じ図柄の五彩と呉須の一対とは
ほんとうに珍しいですね

他の作家でもこのように同じ図柄の一対鉢は記憶がありませんが
ともかく、一石はしゃれた趣向を思いついたものです


一石独特の柔和な感じの乳白色のボディーに鮮やかな色彩で描いた山水画
構図も一石らしく大胆で筆致も繊細で端正です

この小さな、それも、木瓜式の曲面に絵を描くことはとても難しいと聞きますが
さすが名人・一石は画面に少しの乱れもありません

大胆な構図と繊細なタッチに加え
遠景から中景そして近景へと、巧みに描き分けた技量はみごとです




正面の拡大図

黒の輪郭線が強すぎず弱すぎず、繊細でしかも凛としているために
緑、青、赤、黄などの色彩が尚一層鮮やかに見えるのです


反対正面
のどかな牧歌的雰囲気が感じられるのも一石画の特徴です


側面も手を抜いていません


反対の側面は余白をとり巧みに画面のつながりをつけています

いいですね、一石は!!

では

2006年6月5日月曜日

均窯の魅力

支那鉢の中でも特に人気の高い「均窯」についてのお話です

盆栽界において長年の間、「均窯・きんよう」という名で呼ばれてきた鮮やかな空色の釉薬

近年では「均窯」とは中国の特定の窯の名であることがわかり、「均釉・きんゆう」と表現されるよう改められていますが
やはり長年の慣習に従い盆栽屋の多くは「きんよう」と発音しています

私も「均窯・きんよう」派ですが
あまりこだわる必要はないでしょう



北京の故宮博物院展が日本で開かれたときに「宋均窯・そうきんよう」の小鉢を観ました
それも堅牢な感じのする、光沢あるの鮮やかな空色でした

現在盆栽界で珍重されている均窯の鉢のほとんどは
清朝末期に日本からの製作依頼により焼かれたもので100年ほどの年月を経たものです

「均窯」と一口に呼ばれるものでも色調により区別され
空色の「均窯」、黄色の「黄均窯・ききんよう」、草色の「草均窯・くさきんよう」、白色の「白均窯・しろきんよう」

さらに、椿の葉のような深い緑色は「椿窯・ちんよう」
お月様のような青味がかった白色を「月白均窯・げっぱくきんよう」などと微妙な表現をします

やはり日本人の自然に対する感覚とその表現はデリケートです



土目によっても発色がやや異なります
この均窯のように固い朱泥の場合がもっとも発色が鮮やかです

拡大図を見ると釉薬の表面が堅牢なガラス質に覆われてるのがわかりますね
均窯の光沢のある色彩はここからきます

長年の使い込みにより表面のガラス質に無数の細かい磨り傷がつき
渋みが雅味となり風格を高めていますね

このように長い年月の使い込みに耐えうるだけの焼きの固さと釉薬の堅牢さと光沢
これが支那鉢の凄いところです



鉢裏にも釉薬が施され、一層の高級感がありますね
ちなみに、このように鉢裏にも釉薬が施されている場合は、裏釉(うらぐすり」が掛かっている鉢と表現されます

支那鉢の均窯鉢の魅力
少しは分かっていただけましたか?

では

2006年6月2日金曜日

作る・出猩々もみじ(途中経過)

4/23の時点ではチクンとほんのわずかな紅い点に見えていた、新しい芯に予定している新芽

一ヶ月の間に順調に数cm伸びてきました


少しずつですが肥料もやりました


拡大図です
将来は不要になる頭の部分は勢いを抑えるため葉刈りをします
これで頭へ向かっていた養分が下の新芽へと廻っていきますね


もっと拡大

頭のごちゃごちゃした箇所は切りたいのはやまやまですが、じっと我慢
新しい芽がまだ木質化していませんね

今年一杯はぐんぐん伸ばして来春に切り戻す計画です
それまで精一杯に樹勢をつけます

2006年5月27日土曜日

涌泉名品鑑賞

天才・月之輪涌泉の名品の鑑賞をしましょう

涌泉は、彫り込み、ロクロ、タタラと、3つの技法を用いてボディーを製作していますが
彼の凄いところは、そのいずれにおいても最高水準の技を発揮し名作を残していることでしょう

よく知られる彫り込みの技術
それは藤掛雄山などの作家に強い影響を残しましたね

向こうが透けて見えるくらいのロクロ技法による超薄手の丸鉢もみごとですし
タタラ技法の長方鉢は高い格調を示しています



涌泉の作品中では盆栽との調和を強く意識した作品です

そのはず、迫力のある盆栽を入れても調和の取れるだけの存在感をもった鉢
とのさる関西方面の小品盆栽大家からの依頼に答えて製作されたと伝えらています

涌泉には珍しく、屈曲の激しい面のボディーと厚みのある外縁を備えています

以前この鉢に、根張りが盤状になった太幹の楓が入っているのを見たことがありましたが
素晴らしく調和していたことを憶えています

この凹凸の激しい画面に絵付けをするのは難しいでしょうね
ところが涌泉は平面と同様に、遠景・中景・近景とも乱れもなく繊細なタッチで描いています

驚くべき技量、さすが天才です!



力強い存在感と安定感のあるボディーです

馬に乗る旅人を画面の中央に配し、遠景と近景を丹念に描き込んだ構図はみごと
動物を描かせると絵師の力量がわかりますね



反対側の正面図です

涌泉の得意とする湖水を走る舟の図
動きのある船頭の描写や遠近感のある画面が秀逸です



正面の拡大図

構図、タッチ、描き込みの丹念さ、加えて独特の叙情性
涌泉の実力が遺憾なく発揮された作品です

では

2006年5月19日金曜日

水石の鑑賞法

水石鑑賞の基本は「見立て」から始まります
様々な形をした石を、山、滝、島、そして茅ぶきの民家などに見立てるのです

その「見立て」という精神の行為により、「石はただの石ではなくなり」
雄大な自然を連想させる「景色」へと変貌するのです

ですから、水石趣味家にとって掌の上にのっているものといえば
それは石ではなく意識の上では「景色」そのものです



バックの雄大な山の裾からの流れが瀑布となって落ちています
渦巻くように暴れながら落下する水の動きもよく表現されていますね

さらに、落ち際に露出した岩の塊の存在が
この滝の景色をより荒々しく厳しいものにしています

また、「見立て」による連想には何よりも石の時代感が重要であることを知ってください

ともかく、石が石でなく景色として見えるようになるには
河原で拾ったばかりの時代感のないものではちょっと物足りなく

ただの「石っころ」と言われてしまいますね



さて、この石は上の滝石よりもかなり「若い」ですね
つまり時代感が不足しています

岩上茅舎(がんじょうくずや)に見立てられていますが
時代感が足りないために、やっぱり「石」だなーという印象が拭えませんね

まだ「水石」と呼ばれるレベルには達していない
盆栽で言えばいわば「素材」なのです

いい見どころは持っているので
一人前の「水石」になるまで、約10年くらいは辛抱して「養石」しなければなりませんね

今日のキーワードは「見立て」・「養石」
では、よろしくー

2006年5月16日火曜日

黒松の施肥

黒松の新芽がぐんぐんと伸びていますね
それを見て胸がワクワクする時期です

さてそこで、その黒松にもっといっぱい肥料をやり
伸びた新芽にさらに力をつけてやりましょう

今から6月末の新芽摘み(短葉法)の時期までに
精一杯の樹勢をつけるのです

この時期に黒松の新芽がヒョロヒョロと痩せているようでは
1年間の培養計画がうまくいきませんよ

ただし例外もあり
今年の春に植え替えたものや樹勢の落ちた鉢は様子を見ながら控えめに施肥します



樹高12.5cmの黒松、鉢の寸法は間口14.5cm
葉透かしの作業も丁寧に行ったので、フトコロの新芽もグングンと動き出しています

私は小粒の油粕を使っているので、10個くらいが目安

大粒を使っている人は四隅に1個ずつ
芽摘みの時まで切らさずに与えます



みなさん、ご自分の施肥量と比べて多いですか、少ないですか?

私の推測では、ほとんどの方が「こんなにやるの」
そう思っていることでしょう

人間の子供と同じで、伸び盛りの盆栽は食欲も旺盛
とくに新芽の伸びるこの時期にはたくさん食べさせてあげましょう

ばっちり栄養をつけておいて新芽を摘めば再び吹く芽に力があり数も多い
これが狙いなのです

さっそく実行!

注)山もみじや楓のように小枝の繊細さを求める雑木には
同じ容量の鉢でも2粒か3粒にしてくださいね
枝先がゴツクなってしまいますよ

2006年5月8日月曜日

糸掛石の鑑賞

約10年前から欲しくてたまらなかった加茂川の糸掛石が手に入り
頼んでおいた台座がゴールデンウイークの最後の日に出来上がって届きました

で、さっそく、みなさんと一緒に水石の鑑賞といきましょう
とか何とか言っちゃって、本心は要するに見せびらかせて自慢したいんでしょ

と、心の中のもう一人の自分が皮肉タップリに言ってますが・・・

それでは画像を見てください

未踏の秘境に入り込むと突然に行く手を阻んだ高い絶壁
だがよく観察してみると、天然の岩の塊の様子に人の棲むごとき秩序らしきものが感じられますね

よろしいですかみなさん!

ただの「石っころ」と「水石」の違いは
まさに風景としての「秩序」が感じられるかそうでないか、その一点なのですよ

山は山らしく、滝は滝らしく、茅舎は茅舎らしくなくてはいけません
その風景を天然の石の中に見出して鑑賞するのが「水石趣味」なのです

峻険な岩と岩との隙間に登り道があり
頂上には天然の大岩の屋根をかぶった家らしき雰囲気が見られます

屋根の向こう遥かに山の頂が見え
風景はさらなる秘境へと続いていることが想像できます

この岸壁には誰が棲んでいるのでしょう
そう考えただけで、この景色への連想はますます膨らんできますね



加茂川糸掛石 間口40×奥行18×高さ26cm

水石の趣味の世界でこのような岸壁の上の家を「岸上の茅舎・がんじょうくずや」と呼びます
普通の茅舎と違うのは、普通の山里の穏やかな風景でなく、棲む人も世を捨てた仙人の棲むごとく神秘的なことです



頂上大屋根の下、岩窟付近の拡大図

原石の色彩はやや茶色がかった肌色なのですが、時代感で真っ黒
岩肌に蜘蛛の糸のような紋様があるところから「糸掛石」と呼ばれているのです



全体図の向かって右下の岸壁への登り口付近の拡大図



この石にはもう一つの「見付」があります

現在台座に接している底を正面にしてこのように寝かせます
この場合は水盤を使って飾るといいでしょう

この場合も「茅舎」の雰囲気ですね
奥行きもありスケールの大きな風景です



新正面をやや上から見た画像

ともかく壮大な景色と時代感に圧倒されるような石です
みなさん、お楽しみいただけましたか

ぜひとも「石っころ」と「水石」の違いを理解し
「水石趣味」を楽しんでください

いいですよ、旅行先の河原で拾った石だって
「水石らしい秩序」があれば、けっこう楽しめます

この加茂川糸掛石だって同じこと
大昔に誰かが川で拾ったものには違いないこと

気楽にいきましょう!

では