「鉢の傷」についての認識にかなりの個人差が出てきました
「もの」を目の前にした以前の取引では
「ここにチョットしたホツレがあるけど、あまり気にしなくてもいいでしょう」くらいの
盆栽屋一流の雑な説明で済みましたが
画像を通じてはそう簡単にはいきません
どこまでを傷と表現すべきかの判断
さらに、画像ではわかりにくい大きさや深さなどの補足説明、これも案外難しいものです
微妙な欠点の場合、プロ同士であれば、「実物を見て自分で判断してください」などと
買い手側の判断に委ねてしまう「無責任な方法」もあるんですが・・・
まさか愛好家さんに向かってそうはいきません
納得のいく認識と説明はプロの責任として絶対に必要なことです
それについて、ある若手の業者が言いました
「中古車の査定のようなマニュアル作りをしたら、より正確な評価が出るんじゃない」
確かに欠点について細かく減点方式で定めを作るのは、一つの方法ではありますが
盆栽鉢は時代を尊び古さを愛でる総合美の世界であって
出来立ての新品が価格の出発点である車とはかなり性質が違いますね
「業界に鑑定委員会を作りましょうよ、宮本さん、まとめてよ」
と言われたこともあります
しかし、仮に親しい人の依頼品であったら・・・
万全の自信はありませんね、正直言って、自分の品に厳しい姿勢で臨むことの方がより容易に思えます
ともかく、傷についての正確な情報を伝えられる努力と研鑽を摘むことによって、盆栽界がより成熟し
その先に新しい約束事が築かれることを願っています
大正時代に中国で製作された紫泥袋式楕円鉢
側面よりの全体図
一方の正面の縁にホツ(大きさ深さとも1ミリ以内)が1箇所見られます
ニューはなし
足にも少々のホツが見られます
ごく古くにできたもので傷の上に時代がのっているほどです
(足の傷は縁などの傷よりも軽微とされます)
大正時代に中国で製作された紫泥袋式楕円鉢
土目の輝きを拡大してみました
側面の縁にホツ(大きさ深さとも1ミリ以内)が1箇所見られます
ニューはなし
製作から1世紀を経てこれほどに使い込まれた鉢には
たいていの場合、これくらいの微細な欠点が存在します
ただし、欠点は欠点ですね
これら以上に時代感があって無傷完品の鉢は存在します
しかし、現代鉢と異なり100年の歳月を経た時代ものです
鑑賞を主たる目的とせず、その風格を重んじ実用鉢として再評価をしていきましょう
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