2006年5月8日月曜日

糸掛石の鑑賞

約10年前から欲しくてたまらなかった加茂川の糸掛石が手に入り
頼んでおいた台座がゴールデンウイークの最後の日に出来上がって届きました

で、さっそく、みなさんと一緒に水石の鑑賞といきましょう
とか何とか言っちゃって、本心は要するに見せびらかせて自慢したいんでしょ

と、心の中のもう一人の自分が皮肉タップリに言ってますが・・・

それでは画像を見てください

未踏の秘境に入り込むと突然に行く手を阻んだ高い絶壁
だがよく観察してみると、天然の岩の塊の様子に人の棲むごとき秩序らしきものが感じられますね

よろしいですかみなさん!

ただの「石っころ」と「水石」の違いは
まさに風景としての「秩序」が感じられるかそうでないか、その一点なのですよ

山は山らしく、滝は滝らしく、茅舎は茅舎らしくなくてはいけません
その風景を天然の石の中に見出して鑑賞するのが「水石趣味」なのです

峻険な岩と岩との隙間に登り道があり
頂上には天然の大岩の屋根をかぶった家らしき雰囲気が見られます

屋根の向こう遥かに山の頂が見え
風景はさらなる秘境へと続いていることが想像できます

この岸壁には誰が棲んでいるのでしょう
そう考えただけで、この景色への連想はますます膨らんできますね



加茂川糸掛石 間口40×奥行18×高さ26cm

水石の趣味の世界でこのような岸壁の上の家を「岸上の茅舎・がんじょうくずや」と呼びます
普通の茅舎と違うのは、普通の山里の穏やかな風景でなく、棲む人も世を捨てた仙人の棲むごとく神秘的なことです



頂上大屋根の下、岩窟付近の拡大図

原石の色彩はやや茶色がかった肌色なのですが、時代感で真っ黒
岩肌に蜘蛛の糸のような紋様があるところから「糸掛石」と呼ばれているのです



全体図の向かって右下の岸壁への登り口付近の拡大図



この石にはもう一つの「見付」があります

現在台座に接している底を正面にしてこのように寝かせます
この場合は水盤を使って飾るといいでしょう

この場合も「茅舎」の雰囲気ですね
奥行きもありスケールの大きな風景です



新正面をやや上から見た画像

ともかく壮大な景色と時代感に圧倒されるような石です
みなさん、お楽しみいただけましたか

ぜひとも「石っころ」と「水石」の違いを理解し
「水石趣味」を楽しんでください

いいですよ、旅行先の河原で拾った石だって
「水石らしい秩序」があれば、けっこう楽しめます

この加茂川糸掛石だって同じこと
大昔に誰かが川で拾ったものには違いないこと

気楽にいきましょう!

では

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