2010年7月2日金曜日

姫柿・花芽の分化

花もの・実もの盆栽樹種のほとんどが、今年の中程度に勢いの充実した新枝に花芽を分化させ
来春にその頂芽や側芽に開花し、そして実を成らせます

それが、今ごろ、そうです、ちょうど6月中旬から7月下旬ごろにかけてが
来年の花芽が形成される時期なのです(花芽の分化期)

ですから、春先からぐんぐん伸び続けている新芽を
今頃にやたらめったら切り込んではいけません

もちろん、それを承知しているひとでもあまりに勢いがいいので
この時期には切りたくなるんですが

この時期に新枝を深く切ると、残された芽は分化せずに葉芽となり、またあとに出てくる新芽が充実するころには
残念ながら、すでに花芽の分化期が過ぎてしまっていて、来年用の花芽は形成されないのです

とはいってもそのまま放置したんでは、枝の強弱のバランスが崩れ樹形が乱れてしまうし
伸びすぎた枝葉のためにフトコロに日が入らず風通しもよくないですね

そんなときの対策として
針金による枝伏せをお勧めします

来年の花や実を簡単に諦めることは決してありません
うまい方法があるんです


不定芽が立ち枝になると、勢いがつき過ぎてさらに伸びます
また、水平方向に伸びた枝でも、先端がだんだんに上を向いて勢いがついてきます

そして、バラバラに勝手な方向に伸びた枝が絡まり
図のようにフトコロ芽に日や風が入らなくなってきてしまいます


伸びすぎて乱れた枝先を、赤線の輪郭線あたりから切りたくなりますが
↑で言ったように、今ごろは花芽の分化する時期です


それらを途中で切る(白線)と、新しい芽が吹き、それによって残された芽は花芽が分化せず葉芽(赤線)となって伸び
それらの新枝には花芽が分化せず、来春に花が咲かなくなるのです


そこで、伸びた新枝に針金をかけます
曲げて模様をつけるよりも、気持ちとしては枝を伏せるという感覚でやること

つまり、枝は上向きのままに放置すると、ますます勢いが強くなり樹形を乱し、また花芽の分化を妨げるので
水平に伏せたり方向を変えたりして、勢いを制御しているというわけです

適度に制御され、また日と風通しのよくなった枝の葉の元にある芽は
この時期に花芽の分化が進み来春用の花芽が形成されます


このように枝を伏せ、絡んだ枝の方向を修正し
日光や風の通りをよくします

これによりフトコロ芽に元気がよみがえり
芽も枝も充実してきます


作業完了です


各枝にもまんべんなく日が当たるようになりました

では、いま針金で伏せて伸したままの新枝は何時切ればいいのでしょう?

1 あまりに勢いのいい枝は先端の1~2芽のみ摘み込んでおく
2 中くらいの勢いの枝は切らずにおき、9月中旬に長めに切り戻す
3 本格的な剪定は落葉後から春の芽出し前に行う


ちなみに、姫柿の実成りの状態をよく観察してみましょう

1 昨年の夏ごろまでに、大きな赤点の位置に花芽が形成されていました
2 その芽が今春に伸び、元の1~2芽あたりに花が咲いて実となりました

つまり、大きな赤点の枝を昨年の夏ごろ(花芽の分化期)に切らずにおいたので
花芽の分化が進み、このように開花と実成りの結果となったのです

冒頭の

花もの・実もの盆栽樹種のほとんどが今年の新枝に花芽を分化させ
来春にその頂芽や側芽に開花し、そして実を成らせます

を覚えておいてくださいね

では

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