2009年8月9日日曜日

真柏の葉つや復活

盆栽人にとって例年よりも水やりの難しい天候不順の今年の夏
夏といえば水切れを思いうかべる我々ですが、今年のような天候では水が多すぎて失敗するひとも多いようです

その水やり過多の警報のために「五葉松・乾かす勇気」「黒松の色抜け」を書いたのですが
今日はごく単純な水や肥料不足が原因で葉の色つやが冴えなかった真柏を教材にして、その復活した姿をお見せしましょう



7月初旬ごろ撮影

ある日訪れた懇意な同業者の棚で目についた真柏
おそらくベテランの愛好家さんから放出されたものと目星をつけたんですが、聞いてみるとやはりその通り

余談ですが、私たちプロが見るとベテラン愛好家が長く愛培したものは、おおよそわかるんです
見分ける最大のポイントは鉢で、たいがいはきっちりと小さめの鉢に入っていますよ

この真柏もシマッタ小さ目な鉢におさまって
培養よりも鑑賞に重きを置いたたたずまいが感じられますね

初心の愛好家さんだとこうはいかない、思い切ってここまで鉢を小さくできませんね
培養に重きをおいたり乾くのを怖がって、やや大きめの鉢を選定するでしょう

ところで心なしか葉つやが冴えた緑色とは言いがたいですね
きっと鉢が小さいための水不足だとは推測しましたが

ほんとうの原因は何でしょう?
さっそく調べにかかります

さて、枯れ枝や葉の痛みはぜんぜんなし、各枝に葉つやのムラもなし
さらに鉢土を検証してみると、粒子はしっかりして水はけもいい様子

次に底の水穴を見てみると、やはり用土の粒子はしっかりしているし
底網ごしに僅かに見える鉢内部にも清潔感が感じられるので、根の障害はありません

このような場合は、水と肥料が不足しているだけの
いわば単純な軽度の栄養不足だと判定できます、オーケーですね

もちろんこのような状態を何年も続ければほんとうの病気になってしまいますが
今のうちならば十分に間に合います



約1ヵ月後、適切な水やりと少々の施肥によりこんなに葉つやがよくなりました
人間でいえば、医薬に頼らず規則正しい食生活によりすっかり健康を取り戻したということでしょう



美しい濃緑に葉つや

以上のように、盆栽にとって水や肥料は人間の食生活に該当する生命維持の基本です
本当の病気になってから医薬に頼る前に、まずは規則正しい食生活を心がけましょう

では

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