一口に盆栽の管理といっても完成までの各段階によりかなりの違いがありますから
今日は↓の山もみじを教材にしてご説明いたしましょう
この山もみじは、小さい仕立鉢の中で実生からずーっと約20年のあいだ
ハサミ作りで幹の切り戻しや毎年の芽摘みと葉刈りを繰り返して作られた素材です
ボディーはすっかり出来上り将来性十分でしたが
枝数が多く枝順も整理されておらず、まだまだ素材段階でした
私はボディーと枝配りの調和を図りながらしっかりと正面を決め
素材から完成へ向けての道筋をつけました(3~4年前)
関西地方の愛好家に嫁いでから再び私の手元に来たのが今春
見ると数年の間にすっかり落ち着いた大人の雰囲気を身につけているではありませんか
樹高と左右のサイズに似合った化粧鉢に入り、木肌にかなりの古色感がみじみ
枝先は活き活きとしながらも徒長せずに落ち着いています
山もみじの完成への道程において、このように枝先が落ち着いているということが大切で
根と枝葉の量と活動とが、ちょうどいいバランスを保っている証拠です
未完成な素材の場合は、徒長枝が走るようでないと完成への過程がうまくいきませんが
一応枝葉の骨格ができ完成段階に近づくにしたがって、枝先が伸び過ぎないような培養が必要になります
春から入梅前に芽摘みをし、同時に片葉切りと葉切り作業を行いましたが
幸いなことに、その後に再び芽摘みをする必要がありませんでした
つまり抑制された培養管理により、根と枝葉のバランスが保たれていたので
このまま入梅から夏を乗り切ってきたのです
ここで肝に銘じることは、素材と完成を目指す段階に入った盆栽では
培養管理がかなり違ってくるということです
端的に言うと、枝葉の骨格が出きるまでの素材は元気を第一に多水多肥料
一応骨格ができて枝先の繊細さや風格を求める段階になったら、ほどよく抑制された培養管理を心がけます
やや下方よりフトコロを検証すると、不要の枝もかなりありますね
それらは落葉後に姿がよく見えるようになってから、少しずつ減らしていきます
急激に枝葉を少なくすると根とのバランスが崩れて、この場合は木が若返ってしまい
あちこちの枝の先端が徒長を始めてしまいます
夏場でも盆栽屋.comの棚は、寒冷紗などの設備をしない方針です
ですから真夏の強い陽射しのため、葉が少々焼けていますが許容範囲と割り切っています
反対に寒冷紗などでの遮光が過剰で、夏でも青々とした葉を保っている棚場もありますが
それらの大方では、日陰のモヤシのように芽先に力がないことが多いようです
水さえ間に合う条件であれば、夏でもなるべくたくさん日に当てて
成長期に枝葉を充実させておくことは大切です
葉焼け状態の拡大図
十分に許容範囲です
では「抑制された培養管理」が身につくよう
みなさん、頑張ってくださいね
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