2010年3月16日火曜日

出猩々ミニ取り木・独立

盆栽素材をゲットするには、実生、挿し木、取り木、接ぎ木、根伏せなどいろいろな方法がありますが
ミニ盆栽を比較的短時間で仕立てるには、なんといっても取り木が便利ですね

早春もしくは入梅ごろに施術しますが
気の早いひとは9月ごろには台木から外してしまう人もいるくらいです

この出猩々は昨年の春に取り木をかけました
樹髙はわずかに5.0㎝、太さは人差し指くらいです

さて今日は晴れて親からの独立の日
ポイントをしっかりおさえ自立の道を歩めるようにしてやりましょう


下の黒っぽい層が従来の地表で、上の茶色い層が取り木をかけたときに盛った赤玉土、その上に薄く水苔の層が見えます
発根した根は従来の表土の中にも食い込んでいますが、食い込んだ先端は不要ですから

赤玉土の層の下から切り離します
この作業には小さな盆栽用のノコギリがあれば便利です



このように切り離します
まさに親離れの第一歩!



発根した根を傷めないように足元の水苔を少しずつ取り除く
この水苔はあらかじめ細かく切ったものをしようしているので、根を傷めずにわりと容易に取り除くことができます(重要)



途中経過です、ここで作業をやめてはいけません
すっかり水苔を取り除くまで続けます

見た目にはいっぱい根があるように見えても
その多くは複雑に絡み合っているだけなので、足元から発根している必要な根だけを残すようにします



切断面を観察します
切断面の上部の黒っぽく変色しているのは、環状剥皮した箇所

その上の生き生きした茶色の部分は、剥皮によって形成されたカルス



新しく根張りとして必要な根だけを残し、
それらが伸びて絡み合っていた先端はすべて除去します

また新しい盆栽の根の底部にあたる箇所は
なるべく短めに切り詰め、さらにカルスの形成により完全に肉巻きするように処理します

この処理を怠ると、長い年月には底部から幹の中心部のかけて腐食してウロとなり
樹勢に大きな影響がでてしまいます



底部の切り口に癒合剤を塗ることも忘れないように



さらに根張りの高さをそろえるために根を一本切りましたよ
怖がったり根の数を惜しんではいけません

初心の方は、これで大丈夫!? とご心配しているでしょうが
だいじょぶですよ

余分な根を残さない方がいいですよ
もう親からの養分をもらえないので、この出猩々は必死に自立しようと頑張るんです(人間の子供だって同じ・過保護はいけません)

生き残るために、今は発根していない箇所からも根を出そうとがんばるんですね
数本の根でもかならず力強く生き抜いてくれるでしょう


鉢底にたっぷりゴロ土を入れ赤玉の小粒のみで植え込みました
こんごの生育も追跡してお知らせしましょう

では!

2010年2月18日木曜日

涌泉名品の鑑賞

ある親しい愛好家さんから、愛蔵している涌泉の名品を手放したいとの相談を受けました
「えッ、まさか、これほどの名品を、二度と戻らないのに!?」と内心驚きましたが

お話を聞いてみると、やはり盆栽や鉢の蒐集への思いはひとそれぞれに微妙な違いがあって
この方の場合は、鉢と盆栽が一体になってはじめて真の満足感が味わえるというタイプなのですね

この愛好家さんはズーッと10㎝クラスのミニ盆栽をやってきました
それが最近、さらにサイズを短縮して7.0㎝クラスに挑戦するつもりになったそうで

するとこの8.6㎝という間口なので、いかに名品といえど大きすぎるので
この涌泉はさらに日の当たる場所に出ることが少なくります

私などは長い間盆栽屋としてたくさんのお客さんに接してきたのに
名鉢であればあるこそもったいなくて使わないのが愛好家さんと、決めつけていたようですが

この方は、名鉢に素晴らしい名盆栽を入れ一体で眺めて感激したい、という思いがさらに強かったようです
愛好家さんの心理の微妙さを、慣れっこになりすぎて、つい画一的に見がちであったことを反省させられました

鉢は名品になればなるほど使ってみたいという欲求が盆栽趣味の神髄でした
その欲求が自然な盆栽趣味の心ですよね

どうやら私は、惜しげなく名鉢を使うところに
盆栽趣味の醍醐味があることを忘れていたのです

商売に慣れすぎてしまって名品を商品としてのみ認識してしまっている、盆栽屋の貧しい心根
ふとしたことから盆栽趣味の原点に行き当たって、反省しきり、汗顔のいたりです


間口8.6×奥行7.3×高さ4.3cm

前置きはこのくらにいして、それでは、その涌泉の名品をゆっくり鑑賞してみましょう

まずこの箱に書かれている「霽山楼閣図外縁長方」の霽山(せいざん)とは
雨後に晴れていく山という現在進行形の意味をもった言葉です

ですから作者は、山奥の望楼で笛を奏でる人物と周辺の自然を描きながら
楼閣の下部に雨後に晴れ残る雲煙を最近景としてしっかり配しています

このあたりが名人・涌泉のさらにすごいところで、ただ技巧の赴くままに絵を描くばかりでなく
深い知識と教養に裏打ちされた真面目さと真の趣味性があります

穏和で無欲のひとであったと伝えられていますが
まさにそのひととなりも表れています

山深い崖上の楼閣で笛を奏でる人物と楼閣の下部に、まだ消え残る雲煙を近景に配し
広がる静かな山々を遠景に配した大胆な構図はさすがに雄大で名人・涌泉ならではのスケール


涌泉は自らの病を盆栽と作陶で慰めていたと云います
愛培の盆栽を入れるための鉢であったため、ボディーは奥行きもたっぷりで実用にも考慮がはらわれています


涌泉絵画の呉須の濃淡も見どころですね
魔術師的な技と云ってもいい過ぎではないでしょう

また涌泉の作品は、仕上げにあたる呉須絵にかけられた透明釉がすっきりと薄めなので
本来の筆致の繊細さがよく伝わってくるのも一つの特徴です


反対側面より


下部の最近景にまだ消えやらぬ雲煙を、さらに近景には楼閣と人物を描き
その奥に、帯状の煙雲を境にして中景からしだいに遠景へと続く雄大な景色が広がっています

構図の大胆さ奇抜さ、遠近感の演出
涌泉を絵鉢の第一人者にしているのは筆致の繊細さだけではありません


後ろ正面

春夜洛城聞笛(しゅんや らくじょうにて ふえをきく)
李白(盛唐)誰家玉笛暗飛声(たがいえの ぎょくてきぞ あんにこえをとばす)
 散入春風満洛城(さんじて しゅんぷうにいりて らくじょうにみつ)
 此夜曲中聞折柳(このよ きょくちゅう せつりゅうをきく)
 何人不起故園情(なんびとか こえんのじょうをおこさざらん)

☆折柳-「折楊柳」という曲名。故園情-望郷の思い。

誰が吹く笛の音か、風に乗って聞こえてくる。春風に交じって洛陽のまちに広がっていく。
今夜聞こえる曲の中に「折楊柳」がある。これを聞けば、誰でも故郷を思う気持ちを起こさずにはいられない。

この漢詩から画題を構想したのか、反対に画面にふさわしい漢詩を選んだのかはわかりませんが
とにかくこのあたりにも涌泉の教養の深さと趣味性が窺えます


涌泉のボディーは、もちろんタタラによって作られた長方や正方作品もありますが
多くがこの作品のように彫り込みによって作られています

丸鉢系統の作品はロクロ引きによるものがほとんどで
手捻りによるものはごく少数です


最後になりましたが、本作品は2006年に近代出版から発行された涌泉の名品写真集に掲載されています
このように図録になっている作品っていいですね

実物は個人の所有物として人目に品触れる機会はすくなくとも
図録を通して盆栽界のたくさんの方々に識っていただけるんですからね

今日は涌泉名品鑑賞でした、ではまた

2010年2月13日土曜日

スクール速報・山もみじ



はりきりボーイのハシやんが長年培養している山もみじの双幹
よほど制御のきいた適切な管理を続けなければ、この繊細な味わいはでないですね

優雅で無理のない自然体の樹形、細かくほぐれた枝先はもちろん
樹勢も強すぎず弱すぎず均衡のとれた培養ぶりがみごとです

盆栽を鑑賞するひとつの視点として、その樹種本来の特性が強く感じられる場合、「らしい」という言葉が使われますが
この双幹などはまったく「もみじらしい」というほめ言葉がピッタリですね

ちなみにこの単語は「いい木だだけれど、らしくないナ」などと否定的に使われることもありますが
あくまでその盆栽の高いレベルでの評価をするときの言葉ですね



枝分かれの箇所に3ツも4ツも芽をつけず、しっかり二股に整理することを励行しています
この根気のいる作業の繰り返しによって、このような繊細な枝先が作られるのです



とはいえ、盆栽は永久に未完成であり完璧ということはありません
私の見るところ、この主幹の食付き状の下枝が問題ですね

全体の姿からして、この食付き枝は蛇足のような気がします
ない方が立ち上がりに空間ができ、よりすっきり感と優雅さが感じられると思います

思い切って切ることを私は提案しました
ハシやんは傷口ができることだし今更切る気にはなれないようでしたが・・・

もっともこれくらいに完成度の高くなった盆栽を改作するのには
誰だってかなりの勇気がいりますよね、簡単にその気にはなれなせん(笑)



参考に食付きの下枝を切った場合の画像を想像してみました
みなさんはどう思いますか?

あとは赤点の芯にあたる部分を充実させることですね
もちろんこれは時間の問題ですから、ハシやんは楽々とやってのけるでしょう

では

2010年2月10日水曜日

石灰硫黄合剤・お化粧

みなさん、石灰硫黄合剤の散布は終わってますか!?
えッ、とっくに終わってるよですって、それはよかった!

盆栽のマニュアル本のなかには適期を2月頃とおおまかに説明していますが
薬害をおこさないため、ともかく早めにやってくださいね

関東を標準にすると、暮れから1月いっぱいくらいなら少々希釈倍数が濃く(20~30倍倍)ても大丈夫ですが
2月半ばをすぎると常緑樹では50倍前後に薄めたほうが無難です

(かりんなどのように極端に芽の動きが早い樹種は、避けたほうが無難ですよ)

さて、みなさんもよくご存じのように石灰硫黄合剤はその他にも
真柏や杜松のジンの腐食防止用や雑木類のお化粧用にも使われますね

それで、例えば真柏や杜松のジンにお化粧を兼ねて腐食予防を施す場合
葉に触れないようにすれば時期にかまわず一年中実施できます

また↓の楓のように消毒を兼ねてのお化粧の場合は
やはり冬眠中の2月半ばまでに済ませましょう

もみじや楓などは2月も下旬になると、早いものはそろそろ冬芽が動き出してきます
わずかにほころろんだ新芽に消毒液が染み込んで痛めてしまいます



1月中に石灰硫黄合剤で消毒を兼ねたお化粧を施しました
液は筆で塗りましたが、これにはちょっとしたコツがあります


この山もみじを例にしてそのコツをご紹介しましょう



硫黄合剤をお皿に



山もみじの頭から如雨露でたっぷり水をかけます
幹から枝までしっかり濡らすことが最大のコツ



真冬なら原液でも可ですが、2~3倍あたりがいいでしょう
筆に液をたっぷり含ませて樹冠部から塗り出します

幹がぬれているので液がよく延びて作業もらくらく
たちまち枝にも広がってムラや塗り残しの箇所も出ませんよ



塗り終わったら鉢を傾けたまま乾かします



幹から枝の中間くらいまでムラなく塗れました
樹冠部から塗りますが、途中の余分な液が足元から根に染み込まないように気をつけます

ちなみに、この山もみじは既に真冬に30倍液で消毒済
今回の硫黄合剤はお化粧用の目的です

また一冬の間に2回硫黄合剤の散布をする愛好家さんを見かけますが
私はあまりお勧めできません

硫黄合剤の膜で二重に密閉された葉や冬芽が呼吸困難を起こすといけません
1回の消毒作業を丁寧に行えば、それで十分に効果がありますよ

それではあと一週間、まだの人は大急ぎ!

2010年1月28日木曜日

フリースクール速報・.山もみじ

大型新人としてご紹介したハシやんが20年近く手塩にかけた山もみじ
旅行先で小さな実生苗を採取したものをコツコツと作り込んだそうです

樹髙(上下)はわずかに6.0㎝です

ちなみに、懸崖式の樹髙は下の画像のように、芯から下枝の一番下までの垂直の距離を測り
樹髙でなく上下○○㎝と表記するのが通例です


全体の姿もいいし古さも申し分ないし、小枝の先もよく制御のきいた培養がなされています
それでもハシやんにとってはまだまだ物足りないところがあるらしく

小枝の節間の伸びた部分を剪定しなきゃと言っていましたし
根張りがまだ細いために、もっともちこまなきゃとも思っているようです

もちろん盆栽は、命ある限り半永久的に未完の芸術ではありますが
20年からの年月にわたり、自らの作品に妥協を許さない批判眼を持ち続けることはすごいことです

快活なハシやんは「とにかくオレは盆キチでよ!」と自らを揶揄していますが
どうぢてどうして、その情熱と持続力は大いに見習うべきものがあります


赤点間の距離は6.0㎝、したがってこの山もみじのサイズは上下6.0㎝と表記します


かなり以前、幹に模様をつけるために切り戻した傷口が2箇所ありますが、きれいにふさがり時代感も周囲と同化しています
傷口が瘤状にならないのは、切ったあとの傷口の処理が適切であり、その後に均衡がとれた培養を何年も続けられた証拠ですね

勢いがなければ肉巻きが遅くなるし、樹勢がよすぎると肉巻きの部分が盛り上がってしまいます
ですから肉巻きが完了するまでの何年間は、均衡のとれた培養が必要となります


ハシやんは毎年強い芽を抜き、芽数を制限しながら
ほどほどに元気をつけるような培養を心がけています

今年の春もきっと思い切った剪定をすると思います
楽しみですね、また機会があったらこの山もみじのその後の姿をご紹介したいですね

よろしく

2010年1月27日水曜日

四万十川ミニ水石の思い出

きょうは先日頒布コーナーでご紹介した四万十川のミニ水石です
約20年も前のことですが、思い出も交えてお話ししましょう


約20年も前、ミニ水石として見込みのありそうな石をーそうですね、おおよそ500個もあったでしょうかー自採した同業者がいました
もちろん四国の方ですが、その水石を国風展の売店に並べて目玉の商品にするつもりだったんですね

当時、国風展の売店(上野グリーンクラブ)の常連であった私が、会期前の商品搬入の時にそれらのミニ水石に目をつけたというわけです
ひとつひとつ指先でつまんで眺めてみると、それぞれに個性があるし、数は少ないながら、中には特別な素質のもありそうでした

無鉄砲といえばそうですが、若くて元気もよかったんですね
それに根っから水石好きときちゃあたまらないですよ

「オイ、○○さんよ、オレがそっくり買うから安くしとけよ!」
なんちゃって、しぶる彼氏を値切り倒してぜんぶ買っちゃったんですね

さあそれからの何日はかなり大変でしたよ
なにせ500個からの膨大な数のミニ水石を、一個一個品定めしてABCと3ランクにわけたんですから

そのAランクの中から、さらに特Aランクの30個ほどを選び抜き
さらに最後に、その中から◎の特Aランクを5個選び抜いたのです

選び漏れのないように、ランク分けの作業も何度も何度も根気よくやり直し
絶対と自信を持てる5個に絞ったんです

茅舎石の特別いいのがありましたね
ともかく、豆石らしく素晴らしく愛嬌のあるのばっかりで、満足感たっぷりだったのを覚えています

そのはずでよね、みなさん、100個に1つですよ
それも心得のある業者が、一応商品として通用しそうなものを採集した中からですよ

まあ、水石が好きだったから出来たんだし
楽しみと欲との二人づれだったんですね(笑)

そして、その特Aの◎の5つに友人の鈴木広寿(台座名人)に頼んで台座をつけたんです
鈴木さんはチッチャクッテやりずらいかって、ずいぶん渋ってましたっけ

というわけで、私の手元に残った最後のひとつも先だってお嫁に行きましたが
きっと新しい持ち主さんにしっかり可愛がってもらっていることでしょう


ところで、20年前のランク分けのときに、最後の特Aに選ばれながら台座をつけられなかった20数個ほどの石たちも
やはり大切に保管したしたつもりでしたが、気がつくといつの間にか二つが残るばかりとなっていました

その一つがこのミニ茅舎


どうです、いいでしょ、かわいいでしょ
まるで日本昔話に出てくるお百姓の家みたいですね


こんど鈴木さんに会ったら台座を注文しようと思ってるんですが
彼、引き受けてくれるかな、小さすぎるので面倒がって断られるかもしれませんね(笑)


最後の5個の中には遠山石はありませんでしたね
たった一つだけ気に入ったこの遠山石だったんですが、やはり台座組には選ばれなかったんです

それで気が残ってたんでしょうか
こうやって最後まで手元にあるんですね

これも今度の機会に台座を頼むつもりです

さてさて、長い思い出話でした
それでは、また

2010年1月7日木曜日

サイズと樹形・姫柿



この姫柿は、腕利きのセミプロが根伏せから仕立て上げた小品盆栽(樹髙12㎝)ですが
10㎝以内のサイズが好きな愛好家さんからは、なぜ10㎝以内で作らなかったの?

そういうご質問をたびたび受けました
この姫柿の画像を見た小品盆栽の愛好家のみなさんの多くも、そう感じたことでしょう

そこで、サイズを詰めることは今からでも簡単なことですが
その前に、なぜこれほどの腕利きの作者がこのサイズを選んだのか?!

作者の意図や好みを推測してみるのも面白そうですね
それではいろいろ考察してみましょう


芯付近をじっくり観察すると、高さ8~9㎝のあたりに赤点で示した新しい芯の候補がたくさんあります
作者はそれを知りながらも、その候補たちのさらに上部に強い模様をつけ、現在の芯を作っています

ちなみに、この作者はかなりの腕利き目利きで、ミニサイズの魅力も知り抜いた人です
決してうっかりなどということあり得ません

その非凡さは、一度下方へ戻りながら再び立ち上げた強い幹模様に現れています
単にボンヤリとサイズを伸して作った芯ではありません、表情がとても豊かに作られていますね

その人がなぜ?!


↑の画像をご覧ください

堂々たる立ち上がりと緩みない模様を持った逞しいボディーが、この姫柿の最大の見どころです
しかし、一、二、三と順調な枝順の上に芯を作れば、サイズも10㎝以内でおさまりもいいのに

あえてその上まで伸した理由を推測すると
おそらく、ミニサイズの定石を超えたところに美を表現したかったのでしょう

そのため作者は、あえてこの太い青線で記した空間を作り出し
もう一箇所の強く印象をアピールする見どころを演出したかったのでしょう

太い青線で記した空間が、樹形のスケールをさらに大きくしていることは確かです
サイズを犠牲にして、スケールの大きさと見せ場を選択した作者の意図は、みごとに成功していますね

その他に樹形やサイズが決定された要素の中に
この作者が小品盆栽から大物盆栽まで幅広く取り組む人だ、ということも考慮に入れるべきでしょう

大物愛好家の場合、箱卓(はこしょく)を使わないため、サイズにはあまりこだわらない傾向があり
それよりも見せ場の要素を一箇所でも多く演出しようとします

私は今、優劣を言おうとしているんっじゃありませんよ

大物盆栽家と小品盆栽家の傾向や感覚の違いに触れているんです
このため同じ素材を前にしても、両者のイメージする完成図のサイズや樹形はかなり異なってきます

サイズにこだわらず、より多くの見せ場を求める大物愛好家
サイズにこだわり、あくまで素材の定石を通そうとする小品愛好家


今度は小品盆栽家だったらの作り方をシミュレーションしてみましょう

新しい芯のために切り返す芽は右の赤点(高さ9㎝)で、10㎝ギリギリでの完成は可能です
左の赤点は後ろ枝になります


現在の上部を切り取った図


樹項の短縮にあわせ一の枝も大幅に短くしましょう
筋の定石が通って樹形は無駄なく簡潔に出来上がりました

芯の新芽は針金で強く伏せ込み伸さないように
そして、枝間の空間に美しさを見せ場として意識しながら作り込むことです

さあー、あなたはどっちだ?!

2010年1月5日火曜日

楓石付き生還復活

明けましておめでとうございます

ところでみなさん、盆栽屋.comのHPもちょうど10回目のお正月を迎えました
月日の経つの早いことにビックリするとともに、改めてみなさんのご厚意に感謝の念でいっぱいです

こんなこっちゃ、これからの10年だってあっという間に過ぎちゃうぞー
みんさんとのコミュニケーションの更新はもちろん、盆栽作りだってもっともっとがんばらなくっちゃ
今年はみなさんに今までと違った自分を見せるぞー!

というわけで、遅まきながら激しく自分に気合いを入れている新年の盆栽屋.comです
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます


今年の第1回の盆栽つれづれ草は、約2年前に瀕死の状態で手に入れたこの楓石附
可能性は半々と覚悟していたのですが、みごとに命拾いして復活しました

盆栽の再生は盆栽趣味の醍醐味のひとつ
枯れ死寸前や形の乱れた盆栽を蘇生させ基本の形を作り直し、さらに鑑賞価値を目指すんです

基本の構図を作り込むまでには、あと3年ほど必要でしょうが
それまでの年月も期待感でわくわくできるんですね

まず 楓石付大改作

2年前の改作時と↑の画像を比べてみましょう
昨年春に主幹の頭部に新しい芯(赤印)を作るための呼接ぎをし

同時に、大きすぎて構図がぼやけていたので、赤印の石の部分を削り取りました
フリースクール常連のヒナさんとクロちゃんが手伝ってくれて

天然に割れた味を残すように心がけながら
鏨を使った作業はうまくいきました

ざっと剪定、呼接ぎした枝は徒長させたままにしておきます
冬の寒さに凍えるといけませんから


本格的な切り込みはこの春先まで我慢

呼び接ぎした枝元(赤点)にしっかりした芽がありますから、この芽を利用して新しい芯を立て
ゴツゴツした旧い芯は、春先に白線に沿って切り返します


今春にはこのような姿になりますね


入梅前に新芽に針金をかけて基本の構図を作ります


来年中に2回ほど針金をかけ、このくらいまで持って行ければいいなー、と考えています


それ以後も、新芽の軟らかいうちにマメに針金で模様をつけていきます

基本構図を作るうえで、特に気を配るのは

★向かって右の利き枝の動きと空間の美しさ
★左の利き枝の長さ


3年ほど枝作りに励めば基本形ができあがります
木と石が一体となって空間の美しさを醸し出すように心がけましょう

根と幹には力強さを
枝には変化と柔らかさとを

古いいい素材を探して、みなさんも盆栽再生仕事人になりましょう
おもしろいですよ、楽しめますよ

ところで、この楓石付ですが瀕死の重傷であったのを格安で求めたことはお話しましたね
そこでこの楓石付きをご希望の方がいらっしゃったら、特別の掘り出し物価格で頒布いたします

完成予定樹髙は50~55㎝
ご遠慮なくメールか電話でお問い合わせください

ただし1つだけ盆栽屋.comのわがままをご了解していただきたいのです
それは基本形が出来上がるまでの3年間、盆栽屋comでお預かりして管理させていただくこと(もちろんその間の費用は一切無料です)

3年すれば構図の基本ができあがりますから
つれづれ草でご紹介しながら入念に管理させていただきます

つまり、この盆栽屋.comにこの楓石付きを3年間作らせて欲しいのです
ではよろしく