その昔、まだ私が働き盛りの若かりしころのことですが、神奈川方面にS園と言う盆栽園があり、かなりのレベルの盆栽類や古鉢類などの名品が所蔵されていました。私はその二代目さんとかなり親しくお付き合いさせて頂いていたので、商売っ気よりも自らの好みにまかせた道楽気質の先代さんの蒐集した珍品貴品を、かなり身近に見せていただくことができました。
その体験が、その後の私の盆栽人生にどれほど役立ったかは計り知れません。
ところで、当時のS園に数10鉢の葉性のいい杜松の小品盆栽が培養されており、先代さんの説明によると、それらは山採りの八房性の杜松の挿し木苗だと云うことでした。挿し木で容易に繁殖可能で、木肌は荒れ易く芽吹きもいいので小品盆栽に最適な素材だとおっしゃるのです。
樹高はわずかに8.0cmの超ミニサイズ。そのS園で培養されていた優良品種が代を重ねて現在に至るまで小品盆栽界のあちらこちらで受け継がれています。
わずかなサイズですが、本格的な模様木に仕上がるのが本種の特徴です。この模様木はアマチュアさんが挿し木苗よりコツコツと作り上げたものです。
その後、この系統の杜松のルーツをみなさまにお教えしたくなり、愛好家さんが手放した先からむりやりにねだって求めてきました(笑)
サイズの表示がなければもっと大きな盆栽に見えるでしょうね。
足元の根張りの暴れ具合が適度に面白く、動きと変化があります。
やや下方からフトコロをのぞいて見ます。幹模様に力のあるのがこの木の特徴ですね。
正面やや上方より。
後姿。
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