2008年8月1日金曜日

水石の極意

「水石趣味」は「盆栽趣味」と同じ範疇に属しながらも
その鑑賞法が盆栽とはちょっと違います

「水石趣味」の真髄は”石を眺めながらも、じつは見ようとしているのは石でない”
そう、そのあたりのややこしさに秘密があるんですね

その秘密がとければ、どうも水石はわからない、という盆栽人も
きっと水石になじんでくれると思いますね

”石を眺めながらも、じつは見ようとしているのは石でない”
それではいったい何を見ようとしているのでしょうね


私たち盆栽人は、木や草を鉢に入れて、これが盆栽だと眺めていますね
そして、その眺めているものはもちろん見ようとしているものも、、まさしくそれらの木や草に他ならないわけです

ですから、気に入らなければ枝を切ったり針金をかけたり
目的は目の前の盆栽に向っています

ところが水石趣味においては、眺めているのは石そのものに違いないけれど
見ようとしているんは、目の前の石の形状が連想させてくれる自然の風景なのです

遠く霞む連山であったり滝であったり、波しぶきを上げる荒磯や絶海に浮かぶ孤島であったりします
まさに石の姿を自然界の景色に「見立てる」とことにより、主体的に連想を働かせる精神の遊びといえましょう

このように、石の形状を自然界の景色に「見立てる」という
心の作業こそが水石の自由さでありおもしろさなのです



昭和44年に開催されたある水石展示会の記念帖より(小品5点)

さて、昭和44年といいますと既に40年ちかい年月がたっていますね
ちなみに、既にそのころ若年ながら盆栽屋.comは盆栽と遊んでました


多摩川石 間口18×奥行7.0×高さ2.5cm

席飾りの一番右側の石

多摩川独特の柔らかな曲線をもった平たい石
形状は舟形といえますが、なだらかな砂丘の風景と見立てるのが自然でしょう


渋い茶褐色の鉄分が表面に浮き出しています
多摩川の黒石によくある特徴で、とても雅味があります


部分拡大図


後ろ姿の方が石全体の優美な動きがわかりますね
人工の痕がないまったくのウブ石です


多摩川石 間口5.3×奥行3.3×高さ12.5cm

席飾りの下段の真ん中の石

中央の窪みを空滝(からたき)と見立てればいいでしょう
この石も古く雅味がいっぱいです

ウブ石です


後ろ姿

それではみなさん、忘れないで下さいね
水石の極意は「見立て」にありますよ

主観でけっこう、自由に連想を楽しんでくださいね

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