2005年8月24日水曜日

がんばれ彦山人

先日ある同業者(Nさん)を訪ねると、彦山人の小鉢がたくさん入荷していました

およそ30鉢ほどで、大きいのは間口が10cmくらい、小さいのはほんの2cmくらい
形も絵付けの色もさまざまです

最近の作品らしく、彦山人が親しいNさんのところへ持ち込んできたということでした

「あれ、彦山さん人もけっこううまくなったね」
「うん、がんばってるみたいで、かなりいい感じになったでしょ」
「これ位の作柄なら人気も上向くよ」

ところが、鉢の内側に貼り付けた小さなプライスシールに書かれている価格を見たとたんに、びっくり!
「おーい、おい、なんだい、この値段は?」

「そんなにびっくりしないでしょ、宮ちゃん、それは本人が付けてきた値段だよ」
「それにしたって、これって、すげーぜ、この値段じゃとっても無理だよ」

そんなやり取りのあと、作柄の気に入ったのを4鉢だけ大幅値引きで求めてきたのですが
作者の理想とする価格と市場のそれとは、かなりの隔たりがあることを改めて認識しました

作者はみずからの「理想価格」で売りたい
しかし、私達のような盆栽屋にとっては、「適正価格」を読み取り販売することが大切な使命

ほんとうに実力と人気のある作家なら、みずからの設定した価格よりも
市場の流通価格の方がはるかに高い、そういうことも度々あるんですね

そして、作者にとっては、市場流通価格がみずからの設定価格より高くなろうと低くなろうと
どちらにしろ、すんなりとは納得しかねることが多いとは思います

しかし、市場に流通し揉まれた価格こそが、限りなく「適正価格」 に近いというのが私の持論です
価格評価は市場という目に見えないような世界で形成さてていくものなのです

「理想価格」と「適正価格」のギャップに直面するのは辛いでしょうが
いい作品を作りさえすればそのギャップは必ず埋まります、がんばれ、彦山人!


呉須の色も冴えてきました
形も安定してきました


安定したボディーの姿
絵にもう少し余白が欲しい感じですが、筆致の確かさはわかります


鉢裏の様子


彦山人の窯はきっと電気窯なんですね
電気窯特有の素直で鮮やかな色彩がきれいですね

ちょっとおとなしくて弱々しい感じはありますが、持ち味と言えば持ち味でしょう
ボディーの形も言うところはありません


鮮やかな色彩が施され、好感が持てます


この絵も色がいいですね
堅牢な感じはしませんが、素直な色彩が光ります


鉢底の様子

さて、以上の4点の作品を見てきた印象は、形もまあまあ、絵はかなり巧みで
特に色の使い方がきれいで好感が持てることです

それでは、もっと市場の評価を高めるためにはどのような工夫が必要なのでしょうか?

私自身の目から見て、まずは「土」です
もっと堅牢で上質の磁器土もしくは半磁器の「胎土」を使用してもらいたい

そして、「焼成」
現在の作品では温度が上がりきっていないようです
しっかり感を出すにはもっと高い温度が必要ではないでしょうか

「形」について言及すれば
もうすこし力強さが欲しい気がします

例にとると、足の付け方など、ヘラ痕が残ってもいいから
手作りの匂いが濃厚に伝わってくるような感じが欲しいと思います

以上、陶芸の粘土をいじくったこともない盆栽商人が、なまいきなことを言いました
本人が聞いたら憤慨するかもしれません

しかしいまや、彦山人氏は、「絵を描ける鉢作家」の数少ない一人であり、盆栽界にとってまことに貴重な存在
こんご更にレベルの高い作品を世に出していただきたい、と願っているのです

そして、氏は、松戸市に隣接する市川市に住んでいるので
なぜかまったくの他人のようには思えないのです

そんな思いから書いたこの項です

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